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夏コミ発行③ 恋してフローズン

●恋してフローズン コピー本 p32 300円

 リクつら幼馴染パラレル小話連作集。
 以下に、本文見本として、小話連作の第一話を入れておきます。
※完売しました
【はにぃ*はにぃ】



 ゆうやけは、日によって色がちがうって、知ってた?
 今日のゆうやけは、まぶしく光るはちみつ色。キラキラキラキラしてる色。
 とってもあまくておいしそうだったから、ボクは、この色が大すきになった。
 あかもあおもみどりもすきだよ。
 でもね、今日からボクは、はちみつ色がいちばん大すき!




「きれいだね」
「え?」
 それが、奴良リクオが雪女のつららと最初に交わした言葉だった。


 数年前にある日突然里帰りすると言い出し、それからずっと音沙汰が無かった雪麗は、今宵、己によく似た、けれど瞳の色を違えた幼い娘を伴って、奴良家に帰って来た。
 先触れもなかったので、一同は大騒ぎ。
 本家中の妖怪が帰って来た雪麗姐さんとその娘を一目見んと押し寄せて玄関がごった返した所で、鴉天狗の仕切りにより、まずは主様御一家に挨拶と説明を、という運びになった。
 口々に質問したがる輩を押しのけて道を作り通された居間で待っていたのは、すっかり老いた初代ぬらりひょんと、雪麗が奴良家を出る前より明るい顔をしている二代目鯉伴、雪麗不在中に鯉伴が嫁にもらった若菜、鯉伴と若菜の息子たる三代目リクオの、総大将一家だ。
 若菜とリクオについて、雪麗は人伝の話で存在を知っていたらしく、驚きはしなかった。ほんの刹那この母子を見つめ、若菜が、夫から話を聞いていた雪麗に会えて嬉しい、と思っているのが一目でわかる明るい笑みを浮かべたので、雪麗も、冷やかな柘榴石の瞳を僅かに和らげて、その歓待の意に応える。
 だから、雪麗は、簡単な挨拶の後、初代ぬらりひょんと鴉天狗からの質問はさらっと無視して、若菜の「そちらのお嬢さんは?」という問いにだけ答えた。
「妾の娘よ。名前は、つらら。見ての通り、雪女よ。ほら、つらら、挨拶なさい」
「はい、お母さま」
 とことこと前に出てちょこんと正座した娘は、人間で言うと学校に上がる少し前と言ったところ。愛らしい顔立ちを緊張で固くして、必死で、覚えてきた口上を口にする。
「ははははじめまして、主さま方。雪麗のむすめのつららともうします。まだみじゅくものゆえごめいわくをおかけすることもあるかとおもいますが、1日もはやくお母さまのようないちにんまえの雪女になれるようにがんばりますので、どうぞよろしくおねがいいたします!」
 全部を言い切って頭を下げたつららは、最初に少しどもってしまったがとにもかくにも言い終えたことでほっとして、やがて、そろそろ良いだろうかとゆっくり頭を上げた。
 そうしたら、いつの間にか目の前に自分と同じ歳ぐらいの子供が居たので、つららは、驚いてビクッと震える。
「!」
 収穫期の稲穂のような色の髪と瞳の子供は、容姿の柔和さに見合わぬ強さで、まっすぐにつららを見つめてくる。他に何も見えぬのだ、とでも言いたげな一心不乱な様子で。
「あ、あの…?」
「きれいだね」
「え?」
 つららが困惑し出したところで、子供が口を開いた。だが、その言葉の意味を判じきれなくて、つららは首を傾げる。
「おまえの目の色、すごくきれいなはちみつ色だ。ボクの大すきな色だ」
「!」
 とても直接的で、だからこそ誤解しようがない台詞だった。
 いかに幼かろうとて、女は女。まして、つららは、ただの女童にあらず、雪女だ。己の容姿に対する純粋な称賛があまりに強いモノだったので、途端に恥ずかしくなってきて、紅潮してしまった顔を袖で覆い隠そうとする。
「あ。ちょっと。なんでかくすんだよ。きれいなのに」
 不満げにそう呟いた子供が、これまで家中で赦されてきたままに、不躾につららの袖を掴もうとしたところで、あっけに取られていた大人たちがやっと正気に戻った。
「オイ、リクオ。お前、初対面の女の子に何かましてんだコラ」 
 父親として息子の暴挙を諌めなければ、と義務感に駆られた鯉伴が、息子の手を掴んだ。だが、当の息子は、自分の行いの何がいけなかったのかちっともわからない様子で、ぷぅっと頬を膨らませる。
「よくないことを言うのはダメでも、よいことは言っていいんでしょ?きれいって、よいことだよね?ボクは、きれいと思ったからきれいって言っただけだよ。なにがダメなの?」
「おま、何って…」
「う~ん、言うわねリクオちゃん。女を褒めるのは、確かに、全く褒めないよりは良いことだわ。だけど、うちの娘が溶けそうになってるから、ちょっと手加減してやってちょうだい」
 息子に言い負かされて絶句した鯉伴に代わって、リクオに物申したのは雪麗だ。幼さ故の堂々としたストレートな口説き文句が面白かったらしく、くすくす笑っている。若菜も、にこにこ微笑んでいた。 
「えっ!?つらら、とけるの!?」
 だが、雪麗のからかい文句を真に受けたリクオは、慌ててがばりと立ち上がり、雪麗の後ろに隠れたつららに駆け寄って、髪やら顔やらをぺたぺた触り始める。
「ひっ、ひぇええ」
「つらら、とけてるの?どこ?だいじょうぶ?とけちゃダメだよ?」
 雪麗がつららを産んだのも、今日まで育ててきたのも、山神の結界で他者が立ちいることが出来ない雪女の隠れ里だ。雪女の里には、雪女と、眷属の雪狼ぐらいしかいない。時折、行商人妖怪が細々した物を売りに来ることはあったので、『男』という生き物を見たことがないわけではなかったが、幾人もいた行商人妖怪たちは、名の知れた雪女雪麗の娘に不躾な真似などはしなかった。だから、まだ子供とはいえ『男』なる生き物の温かい手でぺたぺた触られるなんて、つららは初めてだったのだ。
 里で1番幼い子供であったつららは、姐さん雪女たちに遊んでもらう時に、姐さん方の恋の話なぞも耳にすることはあった。雪女という種族は女しかいないので、その場合、相手は人間か別種族の妖怪だ。なので、氷雪系の妖怪を相手に選ばぬ限りは、温かい相手と触れ合うのだと知ってはいたが、まさか、山から下りてすぐに、初対面でこれだけ熱烈な言葉を投げかけ触れてくる相手がいるなどとは想像したこともなかったので、つららは、どう対処していいのかわからない。「嫌な男に触られたら吹雪で氷漬けにしろ」、と母から言われているが、温かさに大いに戸惑っているが「嫌」ではないので、どうしたらいいかがわからなかった。
 リクオの手は小さいが、子供というのは大人と違って加減を知らず遠慮が無い触れ方をしてくるし、総大将の血のせいか同年代の子供より力が強い。なので、初めて直に触れる温かさに気が動転したつららは、決して乱暴ではないのだが強引なリクオを押しのけることも出来ず、目をぐるぐるさせる。
「ちょっと、リクオ。お止めなさい。つららちゃん、ビックリしちゃってるわよ」
「そうよ、リクオちゃん。うちの娘もう本当に溶けそうだから……」
「きゅう」
 母親2人が止めに入った所で、だがしかし、時既に遅し。
 いろんな意味で許容量を超えてしまった小さなつららは、目を回してこてんと倒れた。
「つらら!?」



 後に、奴良家の三代目総大将となるリクオと、その妻となる雪女のつららは、こんなふうに出会った。
 ちなみに、リクオは名乗ってすらいないので、この時点では、つららはまだリクオの名も知らない……



【続きは、本にてどうぞ】
  

 
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