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あの日あの時あの場所でいわゆる奇跡などと呼ばれている事象が起こっていたのならば

 ネウロ。ネウ弥子+吾代。


 伸ばした手は空を掻いた。スカッと。

 あの空恐ろしい感覚が、まだ忘れられない。









 アノ日の月はやけに赤かった。鮮血の赤というよりは、悪血の赫。濁った色の光が地上に降り注いでいた。

 たやすく異形に変じることができるはずのあの手は、手袋を外してなお人の手を模していた。気遣いなのかもしれない、と頭の片隅で思った。

 同じことをあの女も思ったのだろう。やけに嬉しそうな顔でその手を取った。迷いもなく。

 おいおいおい。

 俺は、俺らしくないことこの上ないが、あの女の家族もダチも知っていた。父親を亡くしたとはいえ、あの女が何不自由なく(経済的にも精神的にも)健全に暮らしていることを知っていた。アレさえいなくなれば、完全無欠なほどに『幸せな生活』が手に入るに決まっていた。だから、ダメだと思った。正しくない、と。

 この俺が他人に対してそんなふうに思うなんておかしなものだが(妙に腹立たしいが)、それでも情が移ったことは否定できなかった。

 あの物怖じしない大喰らいの女は、『幸せ』になるべきだった。

 なのに。

 伸ばした手は空を掻いた。女を抱えた魔人はしっかとその腕に華奢な身体を抱きしめており、女は抵抗せずに抱きしめられていた。そして、俺を見て申し訳なさそうな顔を、一瞬した。

「行くぞ、弥子」



 





 奇跡は起こった。性質の悪いのが。

 見慣れた事務所には、もう見慣れたあの2人はいなかった。

 そして、二度と還ってはこなかった。





【おしまい】

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