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恋に焦がれて鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が身を焦がす

 ぬら孫 リクつらss。

 昨夜は、リクつらチャットに参加させていただきました。そこで出てきたネタの話です。
 体操服つらら+雨-女性が胸部で用いる下着=思春期男子の胸騒ぎ。
 新緑が青々と茂り爽やかな風が吹く五月の通学路に、一組の中学生男女の姿があった。
 男子の名は、奴良リクオ。明るい茶髪に眼鏡を掛けた温厚で誠実そうな少年で、入学から1ヶ月ちょっとで、既に、教師や同級生の間では『良い奴』と評判になっている。
 女子の名は、及川つらら(偽名)。浮世絵中学の制服を着てはいるものの、実際は生徒ではなく、リクオを護衛する為に共に登校している妖怪雪女である。
 並んで歩く2人だが、今朝は、いつもと違って会話が続かなかった。つららが話しかけるのに、リクオはどんな話題を振っても生返事で、おまけに、つららを見ようとしないのだ。
 つららは、家族同然の間柄だからこそ機嫌の悪い日もあるかと思って最初は気にしていなかったのだが、学校の前の坂にさしかかった頃には、寝不足や不機嫌にしてはおかしい、と思い始めた。
「若、お声に元気がありませんし、顔色が良くないですよ?どうなさったのですか?はっ、もしやお熱がっ!?」
「なッ!?な、何すんだよ!?」
「えっ?」
 これまでそうしてきたように額をくっつけて熱を測ろうとしたつららは、軽くとはいえ、リクオに突き飛ばされて、目を丸くした。
 畏れの調節がまだ未熟なつららは、40度が己の限界温度なので、限界温度付近の温度変化には敏感である。だから、過保護で心配性なつららは、これまではいつだって、こうやって熱を測ってきたのだ。GW前にリクオが風邪を引いた時だって、同じことをした。
 なのに何故、今朝に限って拒絶されるのか。
「わ、若・・・・・?」
「た、頼まれてた用事思い出したから、ボク先行くよっ!」
 リクオは、すぐに顔を背けて全力疾走したから、つららは気づかなかった。
 ぬらりくらりと受け流すのが上手でポーカーフェイスなはずのリクオの頬が、真っ赤に染まっていたことに。



 リクオの中で何かが生じ、そして変化してしまったのは、昨日の夕方のこと。
 



 昨日は、球技大会だった。
 うちの組は1年生ながら健闘してイイ成績を残し(サッカーは優勝)、球技大会は円満に終了したよ。
 催し物って、準備と後片付けが大変だよね。だから、ボクは、体育委員たちに混ざって、仕事を手伝っていた。  
 そうしたら、当然のように一緒に手伝ってくれるつらら。おっちょこちょいのつららは、石灰を倒してジャージを真っ白にしちゃったりしたのに、まだ手伝おうとする。
「つらら、お前はもういいから、着替えておいでよ」
「何をおっしゃいますか。リクオ様こそ、後は私がやっておきますから、着替えてきてください」
 などと互いに譲らずに片付けを続けていたら、雨が降ってきた。
 最初ポツポツだった雨足は、そのうち止むかと高を括って作業を続けているうちにどんどん激しくなってきて、ボクらは、慌てて体育倉庫に避難する羽目に。
「リクオ様っ、大丈夫ですか?」
 物心つく前からボクの世話役だったつららは、鷹揚な母さんよりずっと過保護で、自分だってびしょ濡れのくせにボクのことばかり気にする。
 ボクはジャージを着てたから、ジャージを脱いだら中の体操服は濡れてなかったけど、つららは、さっき石灰塗れのジャージを上下脱いだから体操服が濡れて貼りついちゃってるのに。
 妖怪は13歳で成人だから、と他の下僕たちは最近、ボクを大人扱いしようと努力してくれてて、つららも、一応そうしようという意思はあるみたいだけど、長年の習慣は容易には改め難いらしく、すぐに子供扱いに戻るんだよなー。
「ボクは平気。お前こそ、さっき、石灰で汚れたからってジャージ脱いでただ・・・・・・」
「リクオ様?」
「えっ、あ、いや、・・・・・雨、いつ止むかな」
「う~ん、西の空は明るいですし、通り雨だと思いますが。もうしばらくは止まないっぽいですね~」
 つららは、引き戸のガラス窓から外を覗き込んで呟いたが、ボクの視線は窓などには向かわなかった。いや、移動できなかった、というべきか。
 さっき不自然に言葉を切った時につららに目をやって、気づいてしまったんだ。

 濡れた白い体操服がつららの肌にぴったりくっついていることに!
 つららの胸のあたりで何かがぽつっと、そう、思わず鷲掴みにしたくなるようなまろい曲線を描く胸の膨らみの頂点部分に、何かがぽつっと盛り上がっている、ということに!!
 それが、ピンク色っぽいことに!!!
 

 あれは何かな何だろうね何だと思う何だと思った、いやいややっぱりアレだよねアレ以外に考えられないよね誤解のしようもないよね、つららは気づいてるのかな気づいてたら隠したりするよね気づいてなさそうだよね、ボクは指摘すべきかな指摘しないのがいいのかなどちらが正しいのかな、指摘するにしても何て言うのどう言えばいいのどんな言い方すれば問題にならないの、つらら見えてるよとか言ったらセクハラだよね、つららノーブラなんだねもアウトだよね、こうなると下も穿いてるのかも激しく気になるけど尋ねちゃいけない、きれいなピンクだねもセクハラなのはわかってるんだ、お前は大きくないのを気にしていると聞いたことがあるけど色といい形といい風情といい萌えるから大丈夫だよとか言ったら氷漬けにされても文句は言えないレベルだってことも、わかってる。
 ああそうだ。ボクは、ちゃんとわかってる。
 つららは、そもそも学生じゃないから競技にも参加しないし、上にジャージを着るからと油断したせいか、それともセーターのせいでわからないだけでセーラー服姿の時もそうしているのか、・・・・その、女性が胸部の脂肪を抑えるのに使用する下着(中1男子が口に出せるか!)を着用していなかった、ということ。
 なのに、それを忘れてジャージを脱いで、雨に濡れた為に、白い体操服が透けながら肌に貼りついている、ということ。
 だが、つららは、自分は雪女だから濡れても大丈夫、とか思ってて、現在の状態を、自分がどれほど際どい姿をしているかを、ちーっとも理解していなさそうだ、ということ。
 こんなつららを誰かに見せるわけにはいかない、ということ。
 ていうか、ボクも、最初に見ちゃったのは不可抗力とはいえ、その後は目を逸らすのが紳士として正しいのがわかっているのに、目が釘付けっていうか、舐めるように見るというのはこのことか、というか・・・・・・ごめんなさい。
 うわーっ!でもコレ、見ちゃうのは不可抗力だと思うんだよー!ボクもいけないのは重々承知なのに、目が離せないんだよーっ!
 こ、これが、雪女の畏れってやつ・・・・・いや、ごめんなさい。
 う、ううう。さっき電灯付けちゃったけど、電気を消したらマシになるかな。万が一、他の人が来てこの状態のつららを見られちゃったら、困るよね。つららは妖怪だから夜目が利くし、電気消しちゃおうかな。
 などと、ボクが事態を打開出来ない対策(世間一般では逃げと言うね)について考えていたら、突如、空が光った。
「きゃっ!」
 つららが生れ育った雪女の里には、冬以外の季節がなかったそうだ。だから、つららは、雷は、東京に来て初めて経験したので、ちょっと苦手。大げさに怖がって逃げ出したりはしないけど、心の準備がない所で大きな雷鳴が響いたら、首を竦めて傍らの人物にすり寄る、ぐらいのことはする。
 で、現在、傍らにいるのはボク、というわけで。
 細いのに柔らかい肩が軽くぶつかって、ふわりと揺れた髪の香りが鼻腔を擽る。それと同時に、世界が暗転した。
「えっ?」
「ふぇえっ!?」   
 今の雷のせいで、停電になったらしい。空は暗いし灯りも無いし、体育倉庫は闇に包まれる。
 暗い密室に、濡れて貼りついた服のせいであられもない恰好になっているつららと、2人きり。

 ざわっ、と血がざわめいた。
 
 
 


 
 結論から言おう。
 ボクは、セーフです・・・・・たぶん。

 妙齢の女性のあらぬ場所を凝視しちゃった件はどうかと思うけど、他の点については、頑張ったつもり。
 あの後、例によって例の如く、ボクは夜姿に変化した。
 そこで、気づいたんだよね。つららが変化して、いつもの服装になってくれれば問題無いんじゃないか、ということに。
 なのでボクは、夜姿になったことだし明鏡止水で教室に置いてた荷物だけ取ってきてこのまま帰る、教室に行くまで氷で傘的なモノを作って欲しいから変化してくれ、と告げた。
 よく考えると、昼姿では畏れが使えないボクと違って、つららは別にあの格好のままでも畏れを使えるのだが、そこはつららなので、疑いもせずあっさりと丸めこまれてくれた。つらら本人も、寒くないとはいえ、濡れた格好のままでいるのは不快だったろうしね。
 ボクの変身のシステムは、夜姿に変化すると同時に特に意識せずとも定番の着流しになるので、意図的に変化しているつららの場合はどうなのかはよくわからないけど、とにかく、つららは、濡れて貼りつく体操服で胸の形が顕わになっている恰好から、いつもの振袖姿になってくれた。
 ボクが、内心どれだけほっとしたことか。・・・・・・・・まぁ、心のどこかで「残念」とか聞こえてきたような気がしないでもないわけでもないんだけど。
 その後は、普通に帰宅して、お風呂に入って、ご飯を食べて、寝た。朝も、いつも通りつららに起されて、朝食を食べた。
 そこまでは、良かったんだ。
 つららは、自分があられもない恰好をしていたことに気づいていないようだし、ボクも、極力思い出さないように努力したら普通に接することが出来たから。まぁ、昨夜、寝る前に目を閉じたらつららの姿が瞼の裏に浮かんじゃったから、2時間ぐらいがつんがつんに数独やって数字の残像しか浮かばないようにしてからじゃないと眠れなかったけど、それはセーフだと思う。
 だけど・・・・・・玄関で制服姿のつららを見て、「今日はしてるのかな?」「いつもしてないのかな?」「もしかして下も穿いてなかったりして」とかの煩悩が、一気に頭を駆け巡ったんだよね。それと、あの姿が!
 ボクは、もう、つららを視界に入れることが出来なくなった。だって、胸の部分を凝視しちゃいそうなんだもん。
 つららは、ボクの心の声なんか聞こえないから、いつも通りに隣に並んで話しかけてくる。悪いけど、ボクはつららの話が頭に入らない。
 なのに、通りすがりの人が可愛らしいつららを見つめることなんか珍しくないのに、それがすごく気になって視線を遮ろうとしてみたり、風を感じる度につららのスカートの裾が捲れていないか確認してしまったり。
 通学中のボクは、自分でも不審な振舞いをしていたことは、認める。
 けど、けどね、つらら!
 通学路でおでこコツンで熱測ろうとするのはダメだよッ!
 皆こっち見てたし、なにより、間違って、ボクの手がつららの胸に当たっちゃって、それで、あの、女性が胸部の脂肪を抑えるのに使用する下着(だから言えないってば!)を着用してなくて、ダイレクトな感触が伝わってしまったら、ボクはどうすればいいんだよッ!揉んでいいのかッ!?
 というわけで、ボクは、つららに八つ当たりして、逃げた。ごめんね、つらら。

 ・・・・・・・だけど、当然、逃げた所で問題が解決するわけもなくて。





 昼休み、昨日の夕立が嘘のように晴れた屋上で、さっきから何かを言いたそうにしていたつららが、とうとう箸を止めた。
「・・・・・リクオ様、あの、私、何かリクオ様を怒らせるようなことをしてしまったのでしょうか?」
 長い睫毛で藍色の瞳に蔭を落としながら、つららが尋ねてくる。
 昨日と同じく今日も青田坊に用事があって、ボクらは、いつもと同じく並んで座ってつららのお弁当を食べていたんだけど、やっぱり、いつも通りの反応が出来ていなかったらしい。
 朝に八つ当たりされてからイロイロ考えてしまったのだろう、つららはしょんぼりしていた。
 いつも元気なつららだからこそ、落ち込んでいる姿は苦手だ。幼い頃、悪戯をして大きな声で叱られても平気だったけど、やり過ぎて、つららが「こんなに意地悪なさるなんて、若は私のことが嫌いなのかしら」なんて落ち込んでしまうと、ボクの意地なんか簡単に折れた。抱きついて、泣きそうになりながら謝ったよ。
 けれど、今、同じことは出来ない。
 つららはちゃんと理解出来ていないようだけど、ボクはもう、あの頃と同じ子供じゃないんだ。お前に抱き寄せられて邪心無く胸に頬ずり出来た子供は、もういないんだよ。ボク、午前の授業の間ずっと、お前が今日つけているのかいないのか、下は穿いているのか、気になって仕方がなかった。今も、お弁当食べながら、屋上の風の強さにハラハラしていた。
 ボクは、まだ大人じゃないけど、思春期の男なんだ。わかってよ!
 ・・・・・・とは思うものの、昨日ガン見した後ろめたさで自分からは言えないわけで。
「いや、ボクがお前を嫌いになるとか無いから。勘違いだから」
「・・・・気を使ってくださらなくて、いいんですよ。どうしても嫌だったら、リクオ様に不快な想いをさせるのは私の本意ではないので、護衛を外すとか、側近を外すとか、里に帰すとか・・・・・・・か、帰すとか」
 最後の一言が涙でくぐもっていたので、つららから視線を外していたボクは、慌てて隣を見る。お弁当を横に置いたつららは、膝を抱えて小さく丸まっていた。ぐすっ、と鼻を啜る音が聞こえてきて、ボクは、軽いパニックに陥る。
 食べかけのお弁当を横に置いて、三角座りして膝に額をくっつけているつららを、包むように抱きしめた!
「バカ!誤解だよ!お前を外すとか、お前を里に帰すとか、ボクがするわけないだろ!」
「リ、リクオ様・・・・っ」
 つららの体勢のおかげで危険な場所(昨日大変に思春期男子の心を惑わせた白くて丸くて柔らかそうでピンクの突起がうっすら見えていた場所)に触れる恐れはなかったから、ぎゅうっと力を篭めてやった。
 ひんやりしてて細くて華奢で柔らかくてイイ匂いがして、夜でも暗闇でもないのに血潮がざわめいたけど、昨夜の数独を必死で思い出しながら、しばらく抱きしめる。
 数独の効果に限界を感じ始めた頃に腕を解くと、つららが、「ほわぁあ~☆」みたいに呆けた様子でこちらを見上げてきた。
 潤んだ瞳を上目遣いにしてパチパチするのとか、可愛いから止めろ。ボクが、主としての仁義を踏み外しそうになるだろうが。
 朝と同じように逃げたかったが、ここで逃げては事態が悪化すると思って、ボクは、つららから目を逸らさずにいた。
 ああもう、つららがこんなに凶悪な妖怪だったなんて、知らなかったよ。
 なんなんだ、この畏れは。
 宵闇のような藍色の瞳から目が離せなくて、吸い込まれそうな心地がするんだけど、なにこれ?長い睫毛がパチパチ上下する度に、ボクの脳内がかき混ぜられるみたいだし。微かに紅潮した頬は、白桃みたいで、触りたくて手がうずうずするし。つららが風上に座ってるせいで、イイ匂いで胸がざわざわするし!
 明鏡止水、こんな時こそ明鏡止水の心だ。夜姿で明鏡止水を使う時の感覚を思い出すんだ!
 ボクは、ここに居ない。よって、心臓バクバクであの場所をガン見したりしてない。手がわきわきもしてない。ボクの心は、深山の湖面、揺らがぬ鏡。
 自分に言い聞かせること、数十秒(数十分みたいに感じたけど)。つららは納得してくれたらしく、はにかむように微笑んで、自分のお弁当を持ち直した。
「わかりました。勘違いして、ゴメンなさい」
「昨夜、数独にハマっちゃって寝不足だったんだ。だから朝、無愛想にしちゃってゴメンね」
 ボクも、ほっと息を吐いて、食事を再開する。
 こうして、事態は丸く収まった。



 わけがないだろーっ!!
 結局、昨日たまたまつけてなかっただけなのか、いつもつけてないのか、下はどうなのか、今どうなのか、ボクはめちゃくちゃ気になってるよッ!!
 だけど聞けないよ!!聞けるわけ無いよッ!!
 けど、このままじゃずっと気になり続けるってわかってるのに、誰にも相談出来ないんだけどぉっ!!
 昨日のつららの姿を想像されたら腹が立つから、男相手に相談出来るわけない。組の女妖怪に相談したら、問題は早期解決するけど、絶対、この話を組中に広めるだろう(皆、噂話が好きだから)。カナちゃんたちに相談したら、ボクは変態扱いされるに決まってる。
 ああぁあーっ!?もう、どうすりゃいいんだっ!?



 
 
 言えないからこそ想いは募り、妄想は滾る。
 こうして、リクオは、妄想から意識を逸らそうとして、朝っぱらから妖銘酒を使って明鏡止水・桜の修行を始めたりしてしまうのだった。



【おしまい】
 
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