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ぬらりくおの嫁 その拾肆

 ぬら孫ss リクつら連載。

 

 夕飯が終わった奴良家では、皆が思い思いに時間を過ごす。
 1番多いのはそのまま酒になだれ込んで飲み食いを続ける輩だが、さっさと風呂に入る者もいるし、碁や将棋などに興じる者もいる。宵っ張りの妖怪にとっては、これからが本番だ。
 厨房の若菜にねだって今宵のつまみに海苔せんべいとかりんとう饅頭をゲットした納豆小僧は、摘み食いしながら、自室へ向かっていた。今夜は、豆腐小僧と小鬼と一緒に、『少年漫画におけるヒロイン』について語り明かす予定である。
 納豆小僧が、女性読者から支持を得られないヒロインと支持されるヒロインとの差異についての自論を頭の中で纏めながら廊下を歩いていると、前方に白い人影が見えた。
 うろうろキョロキョロと何かを探している様子が気になって声を掛けると、彼女は、同僚を探しているのだと答える。納豆小僧は、その同僚がどこに行ったか知っていたので、彼女に教えてやった。
 礼を言った彼女は、玄関へ向かう。
 化猫屋の奥座敷で、その同僚が、己の下着を話題にしていることなど知らずに。





「相談、とおっしゃいますと?」
「休めと言っても聞かねぇ奴だから、せめて何か労ってやりてぇ。だが、何をしてやったら本当に嬉しいのか、オレみたいな若造には難しくてだな」 
 卓の縁を睨みつけてリクオがぼそぼそ呟くと、一同は、なるほど、だから首無を探していたのか、と納得した。
 平素ならばリクオが相談相手に選ぶのは義兄弟の鴆だが、医師として博識な鴆でも、リクオより年上なのにこれまで浮いた噂が無い身なのだから、これは不得手なジャンルだろう。
 その点、首無なら、300年以上もの間、籍も入れていないのに1人の女の愛を受け続けているのだから、何かコツ的なことを教えてくれそうだ、とリクオが思うのも納得出来る。
 納得は出来るのだが些か微妙な気持ちになった鴆は、焼き椎茸をつつきながら口を出してみた。
「リクオお前、前に、紅梅の振袖やら小物やら一式誂えて『名付けて、雪の下紅梅』なんて言ってなかったか。あれはどうなったんだよ?」
「・・・・・リクオ様、そんなことなさってたんですか?」
 首無は、かつてリクオの父親が、『どうよ首無?似合うだろう?三国一の男っぷりじゃねぇかオレ?』と言って軍服コスプレをドヤ顔で披露してきた時と、同じ顔をした。
「首無、なんでそんな顔してんだよ?オレは、つららのアイスを食っちまった詫びにだな・・・・・」
「リクオ様~、冷蔵庫にあたしのアイス入ってますけど、食べちゃってもいいですよ~。あたしは、化猫屋の斜め向かいの店の新しい簪1本でいいですからね~」
「こら、毛倡妓。お前、それ、真珠がついてるやつだろうが」
 アイスを無断で食べた詫びが振袖一式だなんていう無茶な話を、恋話の気配を見逃さない毛倡妓がすかさずからかうと、首無が慣れた様子で諌めた。
 女性への贈り物なら毛倡妓の姐さんに尋ねる方がいいのでは、と考えていた良太猫は、この様子を見て、リクオが相談相手に首無を選んだ理由を理解した。毛倡妓はこの手のことには大変有能なアドバイザーなのだが、相談者は必ずからかわてしまうのだ。
 リクオはぶすっとした顔で俯いている。鴆は、リクオの肩を叩いて追加注文した熱燗を注いでやった。
「なんでぇ、リクオ。あいつ、喜ばなかったのか?」
「いや、喜ぶことは喜んでくれたと思うんだが・・・・・」
「恐縮しちゃってたんですよね?」
 一度からかって気が済んだのだろう、毛倡妓が優しい顔でリクオを見ていた。
「と、いいますと?」
「つららは、女の子の例に洩れず、綺麗な物や可愛い物が大好きですよ。振袖やら何やらを、綺麗だ素敵だと思ったことでしょう。でも、真面目なあの娘は、『私なんかにはもったいないです』とか『着物に負けちゃいます』とか言って、ひたすら遠慮しようとしたんじゃないですか?ねえ、リクオ様?」
「・・・・さすがだな。当たりだ。根が素直な奴だから、あの振袖を気に入ったのは間違いねぇと思うんだが、なかなか受け取ってくれなくて、・・・・オレも、つい強引なやり方で言うこと聞かせちまった」
「・・・・リクオ様、何なさったんですか?」
 急に目が据わった首無の問いに答えず、リクオは明後日の方向を向いて盃を干した。
「いや、大したことじゃねぇよ。それよりな、今オレがお前に相談してぇのは、そういう類じゃねぇ労い方だ。つららは真面目で慎ましい女だから、振袖を誂えた上に他に何か贈るって言ったら、困らせそうだ。仕事を減らすのも考えたが・・・・・」
「錦鯉のシマの件は、最初が肝心だから減らすわけにはいきませんね。最初にビシっと決めないと、つららは見た目が可弱い少女ですから、なめられてしまいます」
「護衛を他の奴にする、とか言い出したら、・・・・・嘆くだろうな確実に。きっと、泣くな。それに、実際、あいつが1番お前の隣にいて違和感ねぇから、護衛として連れ歩くには最適だろ」
「食事当番は減らしていただくべきだとあたしも思いますけど、でも、あの娘、自主的に手伝いに来ちゃいますからね」
「だよなぁ。だから、仕事を減らすんじゃなくて、何かこう、あいつの気持ちの張りになるっつーか、疲労を癒すっつーか、そういう方向でいいのがないもんか、と思ってな」
 言って、リクオは煙管を取りだして吸い始めた。
 
 紫煙をくゆらせて唸る彼は、まだ知らない。話題の彼女が、今、どこに向かって歩いているのかを。


【つづく】
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