コンテントヘッダー

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
コンテントヘッダー

ウェンディ症候群

 鋼の錬金術師。ロイアイ。


 騙し絵の中に閉じ込められて出口が見つからないと嘆いてばかりいないで。もう子供ではないのです。
 出口など、その手で作れ。







 お酒の飲み方には善いのと悪いのとがあって、悪いお酒の飲み方をする貴方は嫌い。大嫌い。
 誰も来ないような場所で誰のことも必要とせずに誰にも何も言わずに、たった一人で身体に負担を掛けるだけの不凍液寸前のアルコールを摂取するのは、お止しください。
 大地の恵みを感じる甘露を愛でて世界の苦痛を溶かすような、そんな飲み方も知ってるくせに。
 冷たい、シンと骨が凍えるような冷たい夜の砂の上に怠惰に腰を下ろして、吐息すら漏らさず。ただただ世界が濁って、疲労で瞼が閉じるのを待つような。そんなことして欲しくない。そんな姿見たくない。
 そんな貴方を探し当てた私は、手にしている外套を渡すことすら出来ないんです。勘弁してください。私は貴方を慰めたり癒したり出来ないって知ってますから、わかってますから(だから分を超えないから)、そんなふうに私の無力さを見せつけないで。
 





 貴方を助けたいのです。
 貴方を慰め、癒したいのです。
 幸せになって欲しいのです。この世の他の誰よりも。
 なのに私は、図体ばかりが育って、人を屠る術ばかりうまくなって、結局大人になりきれていない。
 だから、独りで苦しむ貴方に掛ける言葉がなくて。できることが思いつかなくて。
 風の唸りに耳を塞がれながら、薄汚れたテントの影で蹲る。貴方を置いて何処へも行けない(行きたくない)。でも近づくことも出来ない(何もしてさしあげられない)。
 小さく小さくなって風に吹き飛ばされてしまいたいと心底思いながら、だがもう風などによろめく事さえない自分を知ってる。小さな嘘ばかりを積み上げる己の有様を自覚してる。
 もう何も知らなかった頃の子供に戻れない私は、もはや子供のように泣き喚くことも出来なくて。なのにココから連れ出してくれるはずの貴方の手を求めて止まない。
 貴方の苦しみを知っていて、貴方に縋ることを止めない。
 止められない。
 

 子供の季節が終わったのに、私は大人になりきれないまま。
 大人になって、貴方の苦いお酒につきあってあげられないまま。
 ずっとずっと待っているのです。貴方が差し出してくれる手を!
 





「おや、ホークアイ曹長。こんなところでどうした?風邪を引くぞ」
 疲労の色が濃い顔で、拭えない酒の匂いを漂わせて、そんな貴方が差し伸べた手を、私は手放せないのです。






 飛び方を忘れた私たちは、傷だらけのこの足で、夢の国まで歩いてゆく。



【END】
スポンサーサイト
コンテントヘッダー

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

greatberryking

Author:greatberryking
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。