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ぬらりくおの嫁 その拾弐

 ぬらりひょんの孫 リクつら連載。12話。

 
 今回は、出張版ではなく本編です。
 以下に、猫娘後ろ後ろ、の続きを入れておきます。


「んー、鬼纏の相手を決めた時のことをも少し詳しく教えてくれるか?」
 廊下で猫娘が頭を抱えていることなど露知らず、イイ気分になってきた鴆は梅干しを頬張った。なんか、背中の、そう、羽が出てくるあたりがむずむずするなぁ、なんて思いながら。
「と、おっしゃいますと?」
 皆の分までせっせとピスタチオの殻を剥きながら、良太猫が問う。耳の先の毛がちりちりするなぁ、とか思いながら。
「いや、リクオの後ろには百鬼がぞろぞろと居たわけだろ?百鬼は皆、リクオを慕ってついてきて身体張って戦うつもりの奴らばっかりだ。なら、鬼纏は、その中の誰とでも出来たはず。だから、リクオがその時、後ろを見渡して、雪女が1番近くに居たから声掛けたのか、それとも、最初からつららに決めてた感じだったのかが、気になってな」
「そんなの、聞かなくてもわかってることじゃないですかーっ」
 良太猫が剥いたピスタチオを摘まみながら、自分が注文したカクテルのチョコミルク(チョコレートリキュール+ミルク)を、首無のアイスココアと入れ替えながら、毛倡妓がくすくす笑う。髪の先がざわざわするなぁ、なんて思いながら。
「最初から決めてた感じでしたよ。振り返る前に、つららの名前呼んでましたから。つららがすぐ後ろにいるのを疑っていないご様子で。まぁ、実際、つららはいつでもリクオ様のすぐ傍にいますけどね。その時はね、この毛倡妓の絵の通りにボクや毛倡妓や鎌鼬のイタクや黒、そして、この瞬間に前に駆けよってきた天邪鬼の淡島も、鬼纏が可能になる距離にいました。けど、リクオ様は迷うどころか最初から決めていた様子でつららをご指名でしたよ。選ぶどころか、選ぶなんていう行為がそもそも発想の外、て感じでした」
 毛倡妓がすり替えたグラスに口をつけながら、首無が答えた。懐の紐がもぞもぞ蠢くような感じがするなぁ、なんて思いながら。
 4人は、そろそろ酔いが回っている。だから、微かな違和感を感じても、それがどういうことであるのかは気づかなかった。
 気づけ、なかった。
あまつさえ、呑気に笑いながら、鴆はこんなことを言う。
「それはそれは、リクオは本当に雪女にぞっこんだなっ!」
 場は大変イイ感じに盛り上がっていたので、良太猫(まだピスタチオ剥いてます)も毛倡妓(次々とピスタチオを食べてます)も首無(グラスのすり替えに気づいていません)も、どっと笑った。
 その時、廊下から大きな声が聞こえてきたのだ!

「んにゃあぁぁあああ~~~~っ!!?」

 甲高い悲鳴。
 肺の空気を全て吐き出すような大音声に、奥座敷の面々は驚く。
 繁盛している化猫屋は毎夜騒がしいが、喧騒は離れにはそこまで届かないのだ。なぜなら、渡り廊下には、大昔に迷い込んで飲み食いした修験者が代金の代わりに施したという消音系の呪が仕込まれているから、奥座敷は静か過ぎない程度に静かなのである。
 なのに、この悲鳴。百鬼夜行にて常に前方配置の武闘派である首無と毛倡妓はすぐさま立ちあがり、一瞬視線を合わせ、毛倡妓は鴆と良太猫を守る位置に移動して髪を揺らめかせ、紐を構えた首無が襖を開け放った!
 そして、彼らは言葉を失くす。
 行燈で照らされた渡り廊下、そこに居たのは、腰を抜かした猫娘と、今宵の宴席の主題であり、皆の主様である、奴良組三代目奴良リクオだったのだっ!







 奴良リクオは、ぬらりひょんの血統の男としてどうしても女好きではあるが(遺伝子に刻み込まれているからこれはもうどうしようもない)、惚れている女以外に対する時に、下心はあんまりない。
(祖父や父親に比べたら)真面目な性格であるし、そもそもが正真正銘の美丈夫の上に総大将である為に、妖怪社会ではいっそ困る程のモテっぷりなので、ラッキースケベなどを期待する必要が無いからだ。女など、黙っていても寄ってくる。
 だから、離れの廊下で頭を抱えて蹲っている猫娘を見つけ、明鏡止水を解いてその肩に手をかけた理由は、決して下心ではなく、具合でも悪いのかと案じた親切心故。
 なので、猫娘の悲鳴には驚いた。
 だが、もっと驚いたのは、当然、猫娘である。
 ただでさえ盗み聞き中だから後ろめたいのに、(猫娘的には)脈絡もなく話題の中心人物が登場するなんて、彼女の許容量を超えていた。
「どうしたっ!?」
 そこへ、盗み聞きをしていた奥座敷の襖ががらっと開いて、凛々しく赤紐を構えた首無が飛び出してきたものだから、さらにパニックは酷くなる。
「にゃあぁぁああ~~っ!?」
「おう、首無。やっぱりここに居たか」
「リ、リリリリクオ様ぁっ!?」
「ええっ!?リクオ様っ!?」
「ちょっ、嘘ぉっ!?」
 噂話などというモノは、本人には知られぬ場ですべき代物だ。知らぬならば無いも同じとして、その場限りで他に波及せぬならば、如何なる言動も、妄想も、(品性さえ失わねば)許容されてもよいだろう。
 今宵この場での語らいは、憶測に過ぎぬモノを声高に主張し、あまつさえ当人にインタビューなどしてしまう臆面なきワイドショーとは違う、純然たる噂話のつもりだった。
毛倡妓あたりは、この場で、主様と妹分との仲に関して新たな情報を得ることが出来たら、女衆の間に広めようかとも思っていたが、これは、彼女的には、妹分として可愛がっているつららへの応援行為である。予防線を張ることでライバルを減らし、事前に幾度か伏線を引いておけばつららが後々奴良家三代目の奥方に収まる時に好意的に受け入れてもらう為の布石に出来るはずだ、という恋愛戦争の戦略のつもりだった。
なのに、まさかのご本人様降臨!
 当然、全員が吃驚仰天だ。取り繕う言葉すら出てこない。
「?飲んでるとこ押しかけて、悪ぃな。首無にちょいと話があったんだが、電話繋がらねぇから、直接来ちまった」
 リクオは、何故皆がこれほどまでに驚いているのか不思議に思ったが、全員酔っている様子が見てとれたので、酔っ払いのことだから、と深くは考えなかった。
「電話!?・・・・すいません、マナーモードにしていたので気づきませんでした」
 首無が携帯電話を確認すると、確かに、リクオからの着信があった。しかし、マナーモードにしていた上に、その着信の時点で既に(当人は知らぬことながら)毛倡妓がすり替えたカルーアミルクを煽ってしまっていた為に、気づかなかったのだ。いつもはマナーモードでも気づくのにおかしいな、と内心首を傾げつつも、首無が謝る。
「いや、組のことじゃねぇんだから、気にしねぇでくれ。それより、オレもこの席に混ぜてもらってもいいかい?」
「もっちろん歓迎いたしますよ!あ、こちらメニュー表です!」
 後ろめたさをごまかすためにいつもよりも素早く、良太猫が接待モードに入る。毛倡妓と猫娘はそそくさと卓上の空いたグラスや皿を片づけ、新しい座布団を用意して、リクオの席を作った。
「悪ぃな。良太猫、お前のおススメは何かあるか?」
「最初の一杯なら、食前酒感覚で、純米濁り酒『最強○×計画』なんていかがですか?着色料を使用していないのに特殊な酵母のおかげでピンク色の濁り酒で、甘くて濃厚な飲み口が独特ですよ」
「じゃあ、それで」
「肴は、何を召しあがられますか?」
 後ろめたさと酔いで身体を置き去りにした生首状態でふらふらと浮き上がりながら、首無が言う。こいつ酔ってんなヤべぇな、と冷静に観察しつつ、夕飯を奴良家で食してきたリクオ(首無と毛倡妓は若菜に許可を取って夕飯前に化猫屋に来た)は、お任せで軽い肴を用意してくれたと頼んだ。
 この場を一刻も早く去りたかった猫娘が走り回った為、異様な速さでリクオの膳が整う。
 リクオの手にピンクの濁り酒『最強○×計画』が、鴆と良太猫の手に純米大吟醸『雪華懺悔心中』が、毛倡妓にはアイスワイン『インモラリスト』、首無にはノンアルコールカクテル『囃子唄』、と行きわたったところで、良太猫が立ちあがった。
「では、リクオ様もご参加くださるということで、改めまして、奴良組にかんぱーいっ!」
「「「かんぱーい!」」」
 グラスを高々と掲げた良太猫と鴆と首無と毛倡妓の笑顔は些かひきつっていたのだが、幸い、それは、リクオはそれに気づかなかった・・・・・・。



【もちろん、まだまだ続く】
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