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あいににている

 NARUTOで、サスサク。


 こーゆう時間には厳粛に人生の意義だとかそーいうのを考えているべきなんだろうけど、人間なかなかそんなふうにできないもので。
 今まさに人生の大きな転機を迎えようとしている彼の脳も、割とどーでもいい情報をフラッシュバックさせていたりした。
 体内の細胞が外界からの過多な刺激によって異様に戦闘的に組み返られてるようなそんな感触が拭い去れないから、才能の割には凡庸(あんまり気づく人いないけど実はそう)な彼の精神は自身を守るためにそーいう手段を取ったのかもしれない。
 それで守りきれるものなんて、ちっぽけなんだけどね(でもそーいうのは必要。そこまで強くなれないんだよ、誰もが)。
  


 彼が思い出してた記憶というのは、なんでもないちっぽけな出来事。彼以外の他の人が覚えてるかどうかも怪しいような、そんなちっぽけなこと。
 何年か前、彼はやっぱり独りで川縁を歩いてて(確か独りで修行してたはず)、そんな時に聞き覚えのある女の子たちの声(と言っても固体認識は出来てない)が聞こえてきたから、彼はそっと身を隠した。彼はその頃、おませな女の子たちに騒がれるのにうんざりしてたから。
 その女の子たちは彼に気がつかなかった。彼女たちの関心を占めていたのは、いっつもしかめっ面の彼なんかじゃなくて、藍色の花。布にその花を叩きつけると簡易的な藍染めが可能になると知って、女の子たちははしゃいでた(そう、木陰に潜む彼に気づかないくらいにね)。
 バカな男の子たちはバカにしたりするんだけど(だってバカだからね)、『美しい』ことは真に力を持つってことを、女の子たちは幼いのにもう知っていた。『美しさ』は世界のバランスを狂わせるに足るほどの、ものすごい力だって、賢い女の子は皆、本能的に知ってる。
 だから、彼女たちはまだ幼いのに『美しく』装うための手段を会得することに貪欲で、勤勉だった。
 わざわざ型を用意してきて、生成りの布を好きな型で藍に染めて喜んでた。
 彼は木陰に潜んでその様子を見てた。
 笑いさざめく女の子の中の桜色の髪の女の子に視線を吸い寄せられてる自分に気づかずに、見てた。
 桜色の髪の女の子に目立つところはどこにもなかった。その当時の彼女はまだ自信が無くてひどくはにかみ屋だったし、声も小さかった(大きな声と自信に満ちた振る舞いで目立ってたのは、彼女の友達だ)。
 でも、彼は彼女を見てた。
 彼は本当に凡庸な男の子だったんだけど(少なくとも精神的には。術の才は人格とは無関係)、だからこそ、1番可愛い女の子に本能的に気がついた。
 そう、彼女は可愛かったんだ。とても。
 だから彼は見てた。
 藍の花で染めた布を川の水で洗ってクスクス笑う少女たちを、見てた。
 1番可愛い彼女を、見てた。
 

 それから何年か経って、それでも意固地な彼は自分の好みだとか好きなタイプだとかそーいうことに気づかずにいたんだけど(意図的に目を反らしていた節あり)、でも班分けの関係上近くにいるようになった桜色の髪の可愛い女の子が、ある日言った(何かの任務の待ち時間中だった)。
 そう、全く突然に。他意も無く。
「サスケくん知ってる?あのね、この花で藍染めが出来るのよ」
 なんて。
 昔少女たちを盗み見してた(一声もかけず物陰から凝視するっていうのは、そう呼ばれてしかるべき)彼が、心臓をやたらでかい音で鳴らしちゃったなんて知らずに、すごく可愛らしく言った。
 その細い指で藍色の小さな花を撫でながら。
 彼は言いたかったんだ。「そんなの知ってる」とか、「それがどうしたんだ?」とかを。クールに言いたかった。
 でも言えなかった(修行が足りてないね)。だってほら、盗み見をしてた思い出があるから後ろめたくってさ。
 だから何も言えずに、視線を反らした。
 そうしたら、桜色の髪の女の子は、何処にいてもどんな集団の中にいても1番彼の目を惹きつける可愛い女の子は、寂しそうに笑った。
 その寂しそうな様子を見て彼は何か言いたかった。すごく、言いたかった。
 ・・・・・・・・・・でも、言えなかった。

 

 なんてヘタレな想い出を反芻してた彼の物思いは、唐突に絶たれる。世界は容赦なく彼に押し寄せてくる。
 だから樽の中で(何で樽?カッコ悪いにも程がある)まどろんでた彼は、早急に覚醒し、己を閉じ込めていた物質を破砕した。
 その場所から抜け出て、体内の細胞を組み替えられた気分で、なのに彼が最初に目にしたのは林の木陰に咲いてた花で。
 藍色の、どこか見覚えのある花で。
 彼は一瞬その花に意識を移したけど、あえて無視した。ひどく懐かしいような、なにやら愛しいような、そんな気がしたけど無視した。
 そして、戦いの野に降り立った。



 彼は(本当に)実は凡庸な男の子なんで、自分は完璧でなくちゃならないような、冷徹でクールでありたいというような幻想に支配されてて抜け出せないでいたりするのだが。そこまで壮絶にカッコよくなければ桜色の髪の彼女に幻滅されてしまうのではないかという恐れを無意識下に潜ませていたりするのだが。
 女の子はそーいうのあんまり気にしてない(ていうか最終的に『かわいいな』と思えなかった男は愛してると言えないという事実を、これまた本能的に察知している)ということに、彼はなかなか気づかない。
 その後、彼女たちが藍染めに使ったあの藍色に似てる花を見る度に切なげな瞳をするようになるくせに、気づかない。
 

 あーもう、男の子ってバカなんだから!


【おわり】

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