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大人と子供 【子供編】

 ぬら孫ss。リクつら+清十字団。邪魅編の少し後ぐらいの時期。
 お子様なお方の話。
この後、【大人編】があります。
「あー、刀削麺、ホントまじ美味しかった!」
「辛いんだけど、この辛さが病みつきになるっていうか」
「餃子も美味しかったです。あの黒酢はどこかで売ってるんでしょうか」
「肉まんもええお味やった」
「さすが清継君です!」
「だよねぇ。清継、ホント、食べ物の趣味いいよねぇ。その上奢りだし」
「マイファミリーと美味しい物を食べる喜びを共有するのが、僕の喜びだよ!」
「・・・・あんた、そういうとこホントいい感じだよね。だから、なんかいつも、うちら流されちゃうんだけど」
 本日の清十字団の活動は、電車で4駅行った所にある美術館で、企画展示の百鬼夜行絵巻を見学すること。
 妖怪がいそうな場所を訪れる系の活動と違って危険はないし、妖怪博士清継の蘊蓄(例:「障子にたくさんの目が描かれているのは、目目連だね!」)と、陰陽師ゆらの実体験に基づく意見(例:「あ、鳴釜や。前に退治したことあるけど、こいつホンマにうるさかったわ」)などもあって、なかなか面白かった。
 加えて、リクオとつららにとっては、知己の妖怪の姿を見つけては、「煙羅煙羅は、もっと可愛いですよね」「うん。あ、でも、置行堀はそっくり」などとひそひそ内緒話するのも楽しいことだった。
 その後は、清継おススメの本場の味を再現した美味しい中華の店でおごりだったので、誰も彼もがすっかり満足していた。
「美味しくてつい食べ過ぎちゃったかも。清継君、ごちそうさま!」
「まだ終わりじゃないよ。最後にライチが出るはずだ」
 その言葉通り、最後には皿に盛られたライチが出てきた。ライチは、茘枝とも言い、楊貴妃が好んだ果実として有名である。
 清十字団全員で、中華料理店によくある赤くて回るテーブルを1つ占拠しているので、全員分のライチを載せた皿は真ん中に置かれた。
 すると、すかさずつららが手を伸ばして、ライチをいくつか自分の小皿に取り分ける。そして、手早く皮と種を取ると、ライチの汁が滴る指先で白い実を摘んで、右隣のリクオにこう言うのだった。
「リクオ君、はい、あーん☆」
「あーん」
「「「「「「!」」」」」」
 ごくごく当たり前のことのように、リクオとつららは振舞っていて、照れなどは一切無い。
 しかし、他のメンバーに取ってみれば、『中学1年生女子(すごく可愛い)が剥いた果物を、中学1年生男子が手ずから食べさせてもらった』という、バカップルとはこのことだ、のような図を同じテーブルで見せつけられたのだ。全員(食欲魔人なゆらでさえ)の手が止まるのも、無理はない。
 しかし、普段自宅では若様若様と皆に構われ注目されるのに慣れているリクオと、リクオが傍にいれば他のことはどうでもよくなるつららは、周りの様子に気づかなかった。
「んー、辛い物の後だから、冷たくて甘いの美味しいね」
「ふふ。いくつ食べますか~?はい、あーん☆」
「あーん」
「て、あんたらは何やっとるんや!」
 最初に我に返ってツッコんだのは、横暴な兄のおかげで反射神経を磨かれてきたゆらだった。
 この時点ではリクオとつららの正体を知らないゆらは、彼らの関係性にはあまり興味がない。が、だからこそ、同じテーブルを囲む相手にイチャイチャされると居心地が悪いので、その点を抗議する。
「そうよ!リ、リクオ君、何やってるのよ!」
 次に声を張り上げたのは、カナだ。
 年頃になった彼女は、幼馴染のリクオに対して、恋として踏み切れないが気になるという微妙な執着を感じているし、リクオは内心自分のことを好きなのではないかとも考えているので、リクオとつららがベタベタしていると、とても気になる。それに、以前から、中学生になってから知り合ったはずの『及川さん』の方が自分よりリクオに親しげであることに疑問を抱いているので、こんな光景を見せつけられてはツッコまずにはいられなかった。
「おい奴良、お前何だよそれ!お、及川さんに・・・・」
 顔を歪めて叫んだのは、島である。
 旧校舎探索の際に一目惚れして以来、島は『及川氷麗』に夢中だ。その為、常々リクオとつららの親密さが気になってはいたが、一度思いきって尋ねた時に「つきあっていない」と言われたので、ならばただの友達か・・・・とはやはり思えない距離感に日々悶々としていたのだから、こんな光景を見たら叫ぶのも当然だった。
「「・・・・・」」 
 ノリが良くてミーハーな気質の巻と鳥居は、恋の噂話が大好きなので、本来ならばリクオとつららを囃し立ててもおかしくなかったのだが、先に入ったツッコミ、特に、カナと島のツッコミの勢いに気圧されてしまった。
 ちなみに、清継は、「はい、あーん☆」な光景を見た瞬間こそ少し驚いたものの、元々他人の恋模様などに一切の興味がない男であるので(彼の情熱の大部分は妖怪研究に捧げられている)、すぐに興味を失って、ライチを食べ始めた。



 ツッコミを受けて初めて、リクオは、清継以外のメンバーがこちらを見つめている(カナと島に至っては睨んでいる)ことに気がついた。
 が、しかし、注目される原因がよくわからない。
 何をしているかと言われれば、つららにライチを食べさせてもらっているだけなのに、この行動の何が問題なのだろうか?
 リクオにとって、つららが果物を剥いて食べさせてくれるのは、いつものことであった。つららは、物心つく前からリクオの世話係として一番近くに仕えていて、本家の台所仕事もこなしているし、現在は毎日の弁当もつらら製なので、リクオが口にする物につららが関わる率は高い。
 その上、雪女という妖怪は、昔話にも子連れで登場する記述があるぐらいに母性が強く、つららも、リクオを力の限り甘やかしてきた。だから、「はい、あーん☆」なんてこれまで数え切れないほど繰り返してきて、今更羞恥心を感じることもない。
 さらに、つららは雪女であるので、本家の女衆が他に何人いようとも、つららが剥いた果物が一番冷えていて美味しいということになり、リクオが果物を食べたくなったらつららに頼んで剥いてもらうのが習慣になっていた。ちなみに、剥いてもらった果物を直接手から食べるのも、その方が冷たいからで、他意はない。
 なので、リクオには何が問題なのかわからなかったのだが、皆が自分のリアクションを待っていることだけは理解できたので、考えてみる。
 何が問題なのか?
 どこを批判されているのか?
「リクオ様、はい、あーん☆」
 周囲の反応など全く気にせずに、つららが3個目のライチを差しだしてきた時、リクオは閃いた。
 コレだっ!
 リクオの表情が変わったので、具体的な問題点をあえて口にしたくなかった面々は、やっと気がついたのだと期待した。
 皆が見つめる中、リクオはつららに話しかける。
「つらら、ボクのばっかりで自分は食べてないじゃないか。お前も食べなよ」
「そうですか?じゃあ、これは私が食べますね」
 そうだ。つららはリクオに食べさせることにばかり意識が行っていて、自分では食べていない。自分よりも主を優先するというのは、忠誠心の厚いつらららしい行動だ。
 しかし、だからこそ、リクオは、主としてつららを気遣ってやらねばならないはず。故に、それを気遣えなかった自分を皆は責めているのではないか、と思ったのだが・・・・
「「「「「・・・・・・」」」」」
 どうやら、違うようだ。





 リクオは更に考える。
 さっきの推測が間違っていたのは、きっと、皆がリクオとつららの主従関係を知らない、ということが頭から抜けていたからだ。
 主観的な視点だけで考えたから、そういう間違いをしてしまったのだ。相手の意図を知るには、相手の視点を考慮すべきだ。もっと客観的な視点から、考えてみよう。
 客観的に見て、自分は中学1年生の男子であり、(実際は在籍していないが)つららは中学1年生の女子ということになっている。中学1年生の男子が、中学1年生の女子に、剥いた果物を食べさせてもらう光景が、傍から見てどう見えるか・・・・・
「!」
 リクオは閃いた。
 リクオが何かに気づいた顔をしたので、さっきからずっと、ライチを食べもせずにリクオの反応を観察している皆(清継除く)は、期待する。今度こそ、やっと、自分たちのバカップル的行動に気づいてくれたのだろう、と。
 しかし、皆の期待は甘かった。魑魅魍魎の主となる男は、凡人の物差しで測れる代物ではないのだ。
 リクオは中央の皿に手を伸ばし、自分の小皿にいくつかライチを載せた。そして、皮を剥いて、右隣りのつららに差し出す。
「リクオさ・・・君?」
「つらら、今度はボクが剥いてあげるよ。ボクだってこれぐらいは出来るんだから。はい、あーん☆」
 そう、リクオは、皆が、剥いたライチを食べさせてもらっている自分のことを、中学1年生にあるまじきほど子供っぽいと非難している、と考えたのだ。
 食べさせてもらってばっかりなんて小さな子供みたいだ、とリクオは反省する。
 だからこそ、つららに世話を焼いてもらうばかりではなく、つららの世話を焼いてやることもできるのだ、と示す為に、ライチを剥いてつららに差し出した。
 つららは、一瞬きょとんとして差し出されたライチを見つめたが、すぐにニコっとを微笑んだ。
 本来ならば、主が下僕に己が手で剥いた果物を下賜するなどあり得ない。しかし、これは、主従というよりは家族としての気持ちから出た行動で、日頃の感謝を伝えると同時に、自分にも出来るという自立心を示す行為なのだろう、とつららは(リクオの意図だけは)正しく解釈した。
 そして、悪戯ばかりしていた幼子がいつの間にか成長して、己を気遣ってくれるようになったことに胸を熱くしながら、それならばありがたく受け取るべきだと考えた。
 だから、ニコニコしながら、無防備に口を開く。
「ふふ。では、いただきますね。あーん」
 




 自分が剥いたライチをつららに食べさせたリクオの胸には、達成感がこみ上げていた。
 調子に乗って、口を開けて待っているつららをやけに可愛く感じたのは父性愛ってやつかな、などと思ったりする。
 自分の温い手で剥いたライチが、つららが剥いてくれた冷え冷えのライチよりも美味しいとは思えないが、しかし、自分は、世間的には大人と扱われるにはまだまだ早くとも、ちゃんと誰かの世話を出来るぐらいには子供ではないのだ、と証明できた気がして。
 だが、少し得意げな顔になったリクオが左隣を向くと、卓上の紙ナプキンを手に取ったつららが行儀よく種を吐き出しているところだった。
「リクオ様、ライチとか枇杷とかは種がありますから、皮を剥いただけじゃダメです。種も取ってあげないと」
「あー、そうか。ゴメン、つらら」
 つららは、抗議ではなく、今後リクオが父親になった時などに我が子に果物を剥いてやるかもしれないと考えて、その時の為のアドバイスとして苦言を口にする。
 リクオは、素直に反省した。そして、それと同時に、つららがこれまで自分に心細やかな世話を焼いてきてくれたことを実感して、密かに感謝し、彼女の真心を労ってやりたいと強く思った。
「構いませんけど、今後はお気をつけてくださいね」
「うん。じゃあ、今度こそ種も取ったから、安心して。つらら、はい、あーん☆」
「じゃあ、安心していただきます。あーん」

「「「「「何それっ!?」」」」」
 当然、今度こそ、(清継以外の)全員から全力のツッコミが入った。



 


 お前とボクは、とっても仲良し。
 私とあなたは、とっても仲良し。

 ・・・ねぇ、これからもずっとおんなじに仲良し?

【おしまい】
 
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