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黒猫のタンゴ  B

 鋼の錬金術師。ロイアイ。


 真夜中にふと目が覚めて、隣に眠る女の頭を見てみると、黒いネコ耳。
 え?え?え!?
 何かのプレイのお誘いだろうか、ていうか可愛い!コレすごい可愛い!うわーどうしよう可愛いって!!と慌てふためきながら、夢でないことを確認するために自分の頬を思いっきりつねってみた。
 ・・・・・・・痛くない。
 本気でつねってみても痛くなかったので、どうやらコレは夢らしい。
 夢。夢かあ(がっかり)。
 よく考えてみれば私の家のベッドで朝まで過ごすことすら嫌がる(いつも夜中に逃げ出そうとする)君が、ネコ耳つけるなんて戯れをしてくれるわけがない。
 あーあ。
 


 だがしかし、夢の中とはいえコレは貴重なチャンス。このような機会をみすみす逃す私ではないのだった。
 というわけで、今、私は科学者としての探究心を満たすべく、彼女を触診しているのだよ。
 おっと、勘違いしないでくれたまえ。私の目的は崇高な探究心を満たすことにあるのであって、下心なんて無いさ。はは、無いさ。無い無い(言葉を重ねるごとに言葉が薄っぺらになるのはどーしてだろう)。
 調査の結果わかったことはだね、人間の耳はちゃんとあるがネコ耳にも聴覚がありそうだということ、手足に肉球は無いということ、おしりにはしっぽがあるということ。ネコ耳に息を吹きかけると、ぴくっと耳を動かして「ん」なんて可愛い声を出す。
 なんって愛らしいんだ!完璧だよ!
 ある種の夢想が凝縮された素晴らしい夢だね、コレは。ディティールは細部に至るまで完璧。痛覚は無いが触角はあって、ふさふさのしっぽの手触りは絶品。しっぽに頬を摺り寄せるとイヤイヤをする君の反応も絶品。
 あー、いいなあ。権力の頂点を極めたら、こっそり人間にネコ耳(としっぽ)を生やす錬金術でも研究してみようかな。
 などと頭が花畑になるほど浮かれながら、君のパジャマのボタンを外し始める。
 いやいやいや、誤解しないでくれたまえ。私のこの行動は下心ではなく探究心に基づいているのだよ。ほら、定番通りに「にゃん」と啼いてくれるのかどうか確かめたいじゃないか。
 うん、他意は無いよ。探究心だ。無いよ。無い無い(言葉を重ねるごとに胡散臭さが増すのはどーしてだろう)。
 というわけで、いっただきまー・・・・
 



 す、という言葉を紡ぐ前に指を掌つくほど曲げた状態での打撃、いわゆる猫パンチが顔に炸裂して、私は目が覚めた。
 隣で眠る君の頭を思わず確認してみるが、その頭を覆うのは金色の糸みたいな髪だけで。黒いネコ耳じゃなくて。
 がっかり。ちょーっとがっかり(せめてもうちょっと待ってくれても)。
 隣で眠る私の顔に猫パンチを食らわせた君は、やすらかな眠りの中。ここは君の家なので今夜は逃げられる心配は無いけど、ちょっと安心できなかった。
 君は私の手をするりとすり抜けるのが上手過ぎる。決して、私の家で私の帰りを待つ私だけの飼い猫にはなってくれないんだ。だから、印をつけてやろう。
 君のご主人様が私だってこと、君が私の飼い猫だってことが誰にでもわかるように、痕をつけよう。何度でも。
 真夜中のまだ明瞭でない思考回路でそう考えて、首筋に痕を残したら。
「何ですか?」
 君は目を覚ましてぺしぺし私の頭を叩く。飼い主の杞憂など全く考慮しない無邪気な君に、私はちゃんと言い聞かせる。
「君はネコみたいに、すぐに私の手をすり抜けてしまう。だから、ちゃんと印をつけておかないと」
 一瞬怒るかなーと思ったけど、ため息吐いただけで怒らなかったので、ちょっと意外だ。
「おや、怒らないのかな?」
「別に」
 そう言った君はするりとこの腕の中に滑り込んできた。







 君は可愛い俺の黒ネコ。
 猫の目のように気まぐれな君。
 ひっかかれても赦してあげるから、どこにも行っちゃダメだよ。
 ねえ?

【おわり】

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