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黒猫のタンゴ   A

 鋼の錬金術師。ロイアイ。


 真夜中にふと起きだしてみたら、隣で寝てる男に黒いネコ耳が生えていた。
 あ・り・え・な・い!
 即座に、この状況を夢だと判断する。念のために毛布をまくって臀部を確認してみると、黒いしっぽ(ご丁寧にパジャマに穴を開けてまで)。
 ・・・・私、そこまで欲求不満が溜まっていたのかしら(つい数時間前にベッドが壊れそうなほど激しく運動したのに)?こういう趣味があったの?
 己の新しい一面を垣間見てしまったようなそんな気分で、うんざりと胸が塞がる思いを味わっていたら、ふいに思い出した。
 終わった後シャワーを浴びながらこのヒトが歌ってた鼻歌の曲名を。
 その曲こそ、『黒猫のタンゴ』。
 貴方のせいですか!とぎゅうぎゅう首を絞めてやりたい気がしたけれど(夢の中で殺害しても犯罪として起訴される心配はない)、黒いネコ耳がぴくりと動いた様子が異様に可愛らしかったので、断念する。
 美男子というよりは愛嬌のある可愛らしい寝顔を、顔を近づけてまじまじと観察する。
 頬にはネコ髭(いつかみたいにマジックじゃなくて、本物)。人間の耳がついた上に、頭にネコ耳(聴覚とかどうなっているんだろう?)。手足に肉宮はなくて(残念)、臀部にはしっぽ。
 そんな、ネコ化した29歳男性。
 気持ち悪いと可愛らしいの紙一重、というよりは、気持ち悪くて可愛らしいという両方を兼ね備えていると言った方が正しい。
 くらくらする。
 脱力感に逆らいきれず、私はシーツの上に突っ伏した。



 だがしかし、私も昔のような小娘ではない。イロイロ、本当にイロイロな事(主にこのヒト関連)を乗り越えて、私は強靭になった。
 だからショックの波が去った後には、このヒトの耳に息を吹き込んで遊ぶほどの余裕が出来た(なんか間違ってますが、私は『正しさ』より『強さ』を選んだのでこれでいいんです)。
 柔らかい耳毛を揺らしてふーっと息を吹き込むと、「ん」とか言って眉を顰めて耳をぴくっと動かす。気持ち悪くて可愛らしい。とても。
 気持ち悪さは毒のようにこの胸を悪くさせ、可愛らしさは習慣性があって何度も同じ事を私にさせてしまう。
 なんて嫌なヒト(今はネコ)なんだろう。
 と思いながらも私は髭を軽く引っ張ってみたり、しっぽの毛を逆撫でしてみたりするのが止まらなくて。
 リンリンなる鈴が必要だと思った。
 こんなに気持ち悪くて可愛らしいこのネコを外に出すわけにはいかない。ネコは恩など覚えてられないので、他の人がエサをやったらついていってしまうでしょう。
 ダメ。
 そんなのはダメ。
 これは私のネコで、私だけで愛して、私だけで撫でて、私だけに撫でられたらいいネコなんだから、外へ行っちゃダメ。他の人なんかに会わせちゃダメ(浮気なネコだってことはわかってるのです)。
 だから、鈴をつけなくちゃ!
 逃げ出しそうになったらリンリン鳴って教えてくれる鈴をつけなくちゃ。
 そう思ってあたりを見回したらサイドテーブルの上に鈴つきの首輪があって(私こんな物購入した覚えないのですが)、私はそれに手を伸ばして・・・・・



 

 痛いようなむず痒いような感覚が、私を夢から覚醒させた。
 すぐ近くにネコ耳なしの黒い頭があって、首筋に生暖かい感覚。
「何ですか?」
 今夜は3回もしたのにまだするのか無駄に元気なヒト、と思いながらぺしぺし頭を叩いてやると、顔を上げて言った台詞が。
「君はネコみたいに、すぐに私の手をすり抜けてしまう。だから、ちゃんと印をつけておかないと」
 なんて言うから腹立たしくて(ネコは貴方でしょう!私はそんな気まぐれな生き物じゃありません!)と抗議してやろうとしたら、満足そうに笑ってる顔が妙に可愛かったので、なんだかどうでもいいような気がしてしまった。
「おや、怒らないのかな?」
「別に」
 別にいいのです。貴方がどれほど迷惑で困ったヒトでも。
 とりあえず今宵は私のベッドから出て行かないのですからね!





 ・・・・・リンリンと鳴る鈴なんて要りません。
 要りませんったら要りません。
 ええ、鈴が鳴ったって追いかけたりしませんとも!


【おわり】
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