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高砂や・拾参

 だらだらと続いて参りましたこの高砂やも、これにて最終話でございます。

 では、以下へどうぞ!


「三代目!リクオ様!酷いっすよ!この女ったらし!」
「そうだ、この女ったらし!色恋に善悪がなかろうが、さすがに目に余るぜ!」
「そうですよ!節操無し!ぬらりひょんって妖は、これだから!色男だからって、調子こいてふらふらしてんじゃないですよ!」
「お前ときたら、何でもかんでも片っ端から口説きやがって!そりゃあもう罪だぜ、リクオ!」
「ふぇっ!?良太猫?鴆様?えっ、リ、リクオ様が何か!?」


 冬は終われども春とは言い難い今宵、奴良屋敷の主の部屋では、主と側近頭が、久方ぶりにゆっくりと時間を過ごしていた。
 秋に三代目を襲名してから、主は、昼は学業に部活に善行に、夜はシマの見回りに会議にと忙しく、常に寝不足な状態が続いている。
 側近頭を賜った雪女も、元々、女衆としての家事に、主の身の回りの世話に、護衛に、と人一倍忙しかったところに、新たに任されたシマの管理もあって、ここのところ多忙であった。
 だから、珍しく些か余裕が出来た今夜は、主が雪女を部屋へ呼びつけ、膝枕などしてもらっていたのだ。
 冷ややかながらも柔らかい膝に頬を埋めて、氷細工の細い指で髪を梳かれるのは、幼い頃から主の大のお気に入り。凛々しい夜のお姿だというのに、飼い主に撫でられる猫のように、満足げに目を細めている。鈴を振るような声に鼓膜を擽られながら、ゆるゆると夢見心地に相槌を打つ時間の、なんと甘いこと。
 主は、心地よさに眠気を誘われ、しかし、この甘美な時間を少しでも長びかせたいと目を擦る。
 去年まで続いた反抗期の間、この至福を自ら遠ざけていたなんて、もう信じられない。今となって思うのは、日々の煩雑な雑務や死と隣り合わせの戦いは、この幸せを守る為のものだった、ということ。この幸せこそが、己が守るべき、守りたいものだということ。
 疲れに倦んだ心を解きほぐす愛しい女がこんなに近くにいてくれる幸せを堪能し、主は、この先もずっとこの幸せを守っていこう、と決意を重ねる。
 一方、主に膝を貸している雪女も、しみじみと幸せを噛みしめていた。
 元々、幼い頃からお育てしてきた主に対しては、どんなひどい悪戯をされようとも可愛くて仕方がなかったのだが、立派に成長した夜のお姿でこのように甘えられると、胸が甘く疼いてしまう。
 本来ならば、側近として、成人なされた御身で守役女に子供のように甘えてはなりませぬ、と諌めねばならぬのやも、とは思うのだが、守役としてはこの上ない慈しみを、下僕としては限りない忠節を、そして、女としては留められぬ恋情を捧げる唯一の相手に、こんなふうに信頼と寵愛を示されては、嬉しくないはずがない。
 おそらくは、そう遠くない未来に、主はこの手を離して、お爺様やお父君がそうであったように、他所の女を連れてくることだろう。だから、これは、いずれ失われる幸福。ならば、せめて今一時は浸っていたい、と、切なさを伏せた睫毛の奥に隠して、雪女は淡く微笑んだ。
 罪深き幸せの甘さに、酔いしれる。少しでも長く、と祈りながら。
 しかし、その祈りは届かなかったらしい。
 噛み合っているようで重大な所で齟齬が生じている初恋同志のこの主従の、何はともあれ久しぶりに確保できた甘い時間に、乱入者が訪れた。
 鴆と、良太猫だ。
 主が夕餉の席で雪女に部屋へ来るよう申しつけたので、馬に蹴られたくない本家の面々は、付近の廊下や庭からも退避しているし、ふいの客人が現れるとしても先触れがあるはず、と油断していたところに現れた酔っ払い2人は、突然、主に向かって喚き立て始めた。
 妖怪にしては頭脳派の主だが、うとうと眠りかけたところで、前触れもなく乱入されては、さすがに対応しきれない。
 慌て者の雪女は、もちろん混乱している。
 しかし、そんな主従の様子に気づかず、イイ雰囲気をぶち壊しにした酔っ払いたちは、尚も、声高に言い募るのだった。
「この若さでしっかり組を纏めていなさって、三代目はそりゃあすごいと思いますよ。ご立派ですよ。でもね、己に惚れてる女にあんな惨い所業をなさっちゃあ、ならねぇっす!同じ男として、どうかと思いやす!」
「リクオ、お前はよくやってる。ああ、頑張ってるし、結果も出してて、偉ぇよ。義兄弟として鼻が高ぇよ。けどなぁ、女癖だけは気をつけなくちゃならねぇよ」
「・・・・・つらら、風声鶴麗だ」
「えっ!?あ、あの、リクオ様、私には何がなにやら・・・?」
「いーから。命令だ。やれ!」
「あ、は、はい」
 せっかくの、久しぶりの、惚れた女の膝枕を邪魔された上に人聞きの悪いことを捲し立てられて、腹が立たない男はいない。 
 かくして、今宵、奴良屋敷の庭に、氷漬けの彫像が二体並んでしまったのであった。






 オレは、きっと、一生忘れねぇだろう。
 幕のように張り巡らされた蜘蛛の糸を、お前が共に飛び越えてきた姿を。
 あの、美しい横顔を。
 何かと苦労が多い義兄弟の右腕になることが、命短いオレの望みで生き甲斐。
 ならば、なぁ、つららよぅ、お前はあいつの左腕になれ。
 あいつに惚れる女なんざ、この先も掃いて捨てるほどいるだろうが、オレはお前を推す。
 三人で土蜘蛛と対峙したあの時に、そう決めた。
 
 高砂席に並んで座るお前らを見る日が、待ち遠しいな。儚い我が身だが、その日まではなんとかして永らえてみせよう。 
 だから、なぁ、つらら、これからも、二人で、共に、あいつを支えていこうぜ!
 

 
 朝日を浴びてもまだ溶けないまま庭に立つ鳥妖の氷漬けは、晴れやかなイイ笑顔をしていた。
 が、この後、酔っ払いの戯言に心乱されたつららが微妙にリクオを避け始め、昼近くになってやっと本家の妖怪に見つけて溶かしてもらった鴆は、ひどい風邪をひいて、義兄弟の祝言を見る前に死線を彷徨うのだった。 


【めでたしめでたし】
 
 

 長かったこの話におつきあいくださった方、ありがとうございました。
 ラスト、鴆様と良太猫の三代目嫁取り談義は、はたしてどんな結論が!?・・・・という正しいEDを最初考えたような気がするのですが、途中で、なんか、酔っ払いました(笑)。
 妖怪とはいえ飲ませまくってるなー、これは酔っ払うわ、と思えたので、この夜のお話はこういう形で終わります。

 リクつらの萌えポイントについて、まだ語り終えていないので、続きは、毛倡妓と首無を呼んで語らせます。
 現在、良太猫の昼メロ妄想はまだ軽かった!毛倡妓姐さんの実力魅せてやんよ!、と早くも脱線気味・・・・えーと、水鏡は、ぬらりひょんの孫という漫画の、曖昧を許容する空気が好きです。
 夏インテにぬら孫で出ようかどうか今考え中なので、続編はオフ本にするかもしれません。とりあえず、スペシャルゲスト登場させたいので、がんばって続きを書きます。
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