コンテントヘッダー

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
コンテントヘッダー

fly me to the moon

 DEATH NOTE。月ミサ。


 呟いた言葉はあなたの耳に届く前に風に吹き消されて、あなたの目に映るのは、わたしの唇の動きだけ。
「何か?」
 聞こえなかったわたしの言葉を問うあなた。
 問うてくれたことが嬉しくて、わたしは少し微笑む。
「月が綺麗ね」
 さっき呟いたのとは別の台詞。するりと唇から漏れてきた。
 今夜は満月。雲ひとつ無いから、住宅街でもよく見える。
 あなたはわたしの言葉を聞いて初めて、月が出てるって気がついたみたい。見上げて、見回して。
「ああ。キレイだね」
 心の篭らない声で返事した。
 月の光は清らかで、太陽の光みたいな押し付けがましさがない。冷たくて優しい光。
 月には誰も、手が届かない。
 手が届かない場所に美しいモノがあるというのは、イイこと。別にそんなことどーでもいいけど、わたしの手が穢れてるのは確かだから。触れない美しいモノがあるのは、救い。ソレだけはいつまでも穢れない、て信じていられるじゃない?
 わたしは、美しいモノが好きなので。とてもそう思う。
「ねえ、手をつないで?」
 この清らかで美しくて冷たい光を名前に持つあなたに、言ってみた。
 あなたは一瞬間を置いた後、手を握ってくれた。わたしが離さなかったから、駅までずっと握っててくれた(嫌なのにね)。
 あなたの手は、ずうっと、冷たいまんまだった。



 いずれあなたがわたしに齎すだろう最期の瞬間に、刹那の神聖な沈黙の中で、おそらくわたしは思い出す。
 あなたの美しい指先がいつも必ず冷たかったことを思い出す。
 これは、推測ではなく予定。
「わたしを月へつれてって」
 もう一度呟いてみた言葉は、やっぱり風にかき消されてあなたに届かない。

 だあれも、月には触れないの。
 それは、とてもイイこと!


【おわり】
スポンサーサイト
コンテントヘッダー

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

greatberryking

Author:greatberryking
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。