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高砂や・ 肆

 うちの鴆様は、リクつら派です(笑)。

 いや、原作の鴆様もつららのこと結構気に入ってるんじゃないでしょうか?
 同じ対象(リクオ)を愛する同志って、好意を感じるものですから。
 歳も近いらしいし(首無談)、話(リクオトーク)も合うでしょうし、リクオが一緒にいる場ではどっちもリクオリクオでしょうけど、リクオがいない場だったら、仲良くお話してそうな気がしています。


 化猫屋は、妖怪穏食事処の中では老舗だ。永く経営が続く理由にはいくつかあるが、その中に、折々に行われる趣向を凝らした催しがある。
 まだ些か梅にも早い今宵は、春待ちの宴と題して、各席に春の花の造花が飾られ、その花を題材にした歌や句や踊りが、店を賑わせていた。
 奥座敷に飾られたるは、ガラス細工の薄紅の桜花。武骨な指では触れることすら躊躇われる繊細な花びらが、キラキラと光を撒いている。
 桜に飾られた部屋で語られたるは、桜と雪の想いの行方。
 

「・・・・京都では、どうだったんすか?」
 良太猫が問いかけると、鴆はバリバリと頭を掻いた。
「あー、京都な。イロイロあった。いろんな意味で。言いたいことはいくつもあるが、先に時系列を説明しとくぜ」
「へい」
 医師でもある鴆は、他者への説明に長けている。良太猫は、客商売が長いので、己の主義主張を述べるばかりの単純な輩が多い妖怪にしては珍しく、聞き上手だ。二人の会話はスムーズに進んでいく。
「まず、リクオが遠野に修業に行かされた。この間にリクオの学校のなんたら団の奴らが京都に行くって言い出して、不在のリクオに代わって学友を守るべし、と雪女と青が京都に出発。リクオが修業を終えて戻って来て、宝船出航。宝船が襲撃されて、敵は撃墜したが、川に不時着した。その後、敵が漏らしたヒントを受けて、伏目稲荷へ行って、京妖怪と戦って、遠野の奴が倒した。そしたら、陰陽師が伏目稲荷に封印に来て、なんでかそいつらについて一緒に来てた雪女が、こちらと合流。それから間を置かずに、土蜘蛛襲来。雪女が浚われて、リクオは鞍馬山で修業。オレもついてった。手違いとかもあったが、修業は完了してリクオは鬼纏を習得できた。それからは破竹の勢いで封印の妖怪を倒していって、雪女を助けに行って、という流れだ。じゃあ、今から、この流れの中でオレが気になったところを言っていくぞ」
「へ、へい」
 鴆が並べた事実を、良太猫は、慌てて頭のメモ帳に書きとめる。
 京都の大戦については毎日店で語られているが、話題になるのは大抵弐條城での決戦のことだし、それ以外の要素は語り手が自身の活躍を語っているだけだから、良太猫は、リクオの詳しい行動記録などは知らなかったのだ。
「まず、宝船の中でのことなんだが、オレはこっそりついてきてたから話し声は聞こえてなかったんだが、なーんかリクオの様子が変だった」
「変、とは?」
「右隣の首無と話してたリクオに、左から毛娼妓が酌したんだが、その時な、リクオはふいに左向いて何か言って、毛娼妓の顔見て、あれ?てな顔してたんだよ。そしたら、毛娼妓が、あらあら、て笑って、苦笑した首無がリクオの肩をぽんぽんと叩いて、リクオはぶすっとした顔になった」
「?」
 良太猫は鴆の話の意図がわからなくて、小首を傾げる。鴆は、顎を撫でながら、自身の推測を語った。
「ありゃあ、なぁ、たぶん、酌したのが雪女だと思って、名前でも呼んじまったんだろ。オレが本家でリクオと飲んでたら、酌してくれんのはいつも雪女だからなぁ」
 カナに一票投じた身として、良太猫は鴆の推測を否定しようと思ったのだが、そこでふと、以前見た光景を思い出した。
「・・・・そう言えば、前にリクオ様がうちの店に来て、珍しくだいぶ酔ってらっしゃった時に、隣で酌してたうちの猫娘に向かって、『つらら』って声掛けてましたね」
 それだけではなく、その後、転寝をしたリクオに毛布を掛けた猫娘のことも、『つらら』と呼んでいた気がする。
「雪女はリクオリクオだけどよ、リクオだってつららつらら言ってるよなぁ。遠野の連中に聞いたんだけどよ、遠野でも寝言で名前呼んでたらしいぜ」
「・・・・守役でお世話係ですからね」
「そうそう。まぁな、仕方ねぇよ。あいつら、接触時間が長過ぎる。本家に居る間はずーっと一緒にいるし、学校も一緒に行ってるし、出入りの時だってリクオの1番側にいるのが雪女だからな。つぅか、学校行く前なんか、リクオを育てたのは雪女だ、て状態だからな。小っせぇ頃のリクオは、本当に雪女がお気に入りでよ。小腹が空いても、眠くなっても、つららつららだったぜ。悪戯の被害に1番あってたのも雪女だったけど、それも、ガキが気を引きたい女を苛めるようなもんだったんだろうなぁ」
「・・・・いや、まぁ、姉とかそんな感じかもしれないですよね」
 自分でもちょっと苦しいような気がしつつも、良太猫は一応抵抗してみた。そんな抵抗など気にせずに、鴆は話を続ける。
「おっと、話が逸れちまったな。続き、続き。次に気になったのは、宝船から降りた時にリクオが言った行動方針だ。『まずつらら達と合流する』、これ、何かおかしくねぇか?」
「え?いや、でも、先に来てる仲間がいるんなら、情報収集と戦力増強の為に合流するのは定石なんじゃ・・・・」
「いやいや、オレは言ったろ?雪女と青が京都へ行った目的は、何とか団の護衛であって、偵察云々じゃねぇ。それどころか、二人は、可能なら、何とか団を危険から遠ざけようとしてるはずじゃねぇか?情報が手に入る保証はねぇよ。それぐらいなら、陰陽師娘に繋ぎつけてみようとする方がいいんじゃねぇか?それに、合流しても、何とか団が京都に居座るんなら、誰かをつけとかないと危ねぇぞ。それで、それは、その何とか団に入ってることになってる、雪女か青が適任なわけだ。つぅか、夜姿のリクオは、その何とか団に姿見られたくねぇはずだから、連絡はしても、接触はしねぇ方がいいはずだぜ?」
「そ、それは確かに・・・・」
 鴆の解説はいちいちもっともで、良太猫は納得せざるを得ない。すると、確かに、リクオの発言が謎に思えてきた。
「なのに、なんで、『まず合流』なんだよ?リクオの奴、遠野に修業に行ったり、自分が帰ってきたら雪女が京都に行っちまってたりで、こんなに長いこと顔見てねぇの生まれて初めてだから、単純に雪女に会いたかっただけじゃねぇのか?」
「いやいやいや、それはそんなまさか・・・・」
 良太猫は否定しようとして・・・・・・上手く言葉が出てこなかった。



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