コンテントヘッダー

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
コンテントヘッダー

先達に学・・・・ぶ?

 ぬら孫ss。
 某春の新アニメ感想と言いますか(笑)。
 リクつらで、コメディーです。


 百鬼が住まう奴良屋敷には何台ものテレビがあるが、応接間には一際大きなテレビが設置されている。
 そのテレビが能天気なCMを流す前で、マフラーに顔を埋めるようにして俯いた雪女は、冷気を漂わせながら震えていた。
 家人に声をかけ、茶や茶請けも用意して、準備万端でその番組に臨んだのは、確かに彼女の意思だった。
 だが、今、奴良家の雪女は、黄金螺旋の瞳をぐるぐるにして混乱の極みにあった。
 普段から慌て者でそそっかしい彼女ではあるが、ここまで追い詰められたのは近年稀に見る事態である。
 祖父と側近と小物連中は、いつも通り雪女の隣に坐していた若君をそっと見やって、言葉ではなく視線で語った。 

 なんとかしろ、と。

 その視線を受けて、自身が雪女にとって最も影響力がある存在だという自負がある若君は、冷や汗を流しながらも雪女に話しかけた。

「・・・・つらら、落ち着こうね?」
「い、いえいえいえいえ、リクオ様。つららは落ち着いておりますでございますよ!ええっ、ええっ、ちゃんとちゃんと、大丈夫でちゃんとして落ち着いておりますのです!」
「いや、全然落ち着いてないから。ほら、つらら、とにかく、顔上げて深呼吸しよう。はい、吸ってー。吐いてー」

 条件反射で唯一の主の言葉に従って顔を上げた雪女は、可憐な唇からふぅぅーと長い息を吐いた。力の制御を誤った、氷の息吹を。
 不運にもその軌道上にいた納豆小僧がカキンと冷凍納豆になったが、これぐらいは後で解凍すればいい話なので、若君は気にもせず話を続ける。

「あのね、ボクは、つららはつらららしくしていればいいんだと思うよ。無理をする必要なんてないんだ」
「ダメですっ!わ、私だって成長しなくちゃいけません!もっとお役に立てるようになりたいんです!」
「いやいや、今でも十分役に立ってくれてるから。女衆の仕事に、ボクの護衛に、世話係に、百鬼夜行に、とお前はいつもよくやってくれてるよ。働き過ぎなぐらいだよ」
「いいえっ!いいえ、リクオ様!つららは頑張れておりません!需要と供給が消費社会の習いならば、世の『にーず』を無視するのは愚行。主の望みを察せられないのは愚鈍というもの。なのに、私は、奴良家の雪女のくせに、お、己に課せられた役割に気づかずに、とんだ怠慢を・・・・!」

 いつでも一生懸命なのはこの雪女の良いところだが、今回はそれが裏目に出た。
 衝撃的な映像にショックを受けて、真面目さ故に己を追い詰め、とうとう、袖で顔を覆って泣き出してしまう。 途端に、畳に霜が走り、襖がギシリと凍りついた。
 皆は、急に冷凍庫温度になった部屋にぶるりと震えたが、幼少の砌より雪女の冷気には慣れっこの若君は動じずに、雪女の頭をそっと撫でてやる。

「よしよし。つらら、泣かないで。お前が泣くことないんだよ?うちにはうちのやり方があるんだから、外野のことなんて気にしなくていいんだ」
「ふえぇ~。ダメですぅ~。だって、だって、先輩がこんなにがんばってらっしゃるのに・・・・」
「余所の雪女は余所の雪女、つらら、お前はボクの雪女だろ?だから、余所の男の『にーず』なんかよりボクの意思を優先しようね?」

 耳に心地よい優しげな声音で、よく聞くと些かアレな台詞を吐いて、若君は、そっと雪女を抱き寄せる。
 若君中心に世界が回っている雪女は、いつもならば、こうされると力を抜いて若君の手に己を委ね、次第に、事の是非も何もかもどうでもよくなってきて、いつの間にやら泣きやんでいるのだが、今回は衝撃が大き過ぎたらしい。
 あろうことか、若君の手をぱっと振り払い、こう叫んだ。

「ダメですぅっ!だって、妖怪マンガヒロインの偉大なる先達であらせられる雪子姫先輩は、あんなに脱いでるじゃないですかぁっ!」 
  



 そう、本日奴良家の家人が揃って観ていた番組は、往年の人気アニメドロ○ンえん魔くんの焼き直しアニメであった。
 つららは、テレビ情報誌で、この作品の主人公が妖魔の世界の御曹司な上に、傍らに侍るヒロインが雪女で、妖怪たちの規律を正すのが主人公たちの目的だと知って、参考になるやも!と皆に声をかけて一緒に観ることにしたのだ。
 ヒロインの雪女は、強く美しく、御曹司の主人公の許嫁で、ベタ惚れに惚れられているという。故に、視聴前のつららは、同族として誇らしいことだ、ああ、雪女キャラの先輩とはどんな方なのだろう、と密かに胸を踊らせていた。
 ところがこのアニメには、(つらら的に)大きな問題があったのだった。
 ライトでおバカなノリは作風だから良いのだが、ヒロイン雪子姫は強力な冷波を操るのに、何故か、毎度毎度敵に捕まり、裸に剥かれて、あられもないギリギリな姿を視聴者に晒してしまうのだ。その上、飛翔能力があって飛ぶシーンも多いというのに、ミニスカ着物の下はノーパンだったりもするのだ。
 これは、つららには大きな衝撃であった。
 つららは古風で貞淑な女で、世間一般のヒロインよりずっと露出度が低い。振り袖+マフラーの通常衣装では、指先すら袖の内に隠したりして、顔以外の素肌を晒さぬこともしばしば。
 戦闘時でも、せいぜい、襷掛けにして肘から先の部分が見える程度で、着物の裾が翻ってふくらはぎが見えることすらない。
 人間に化けた通学時の姿や清十字団の学外活動時の私服姿では素足を晒しているが、それとて、他の女子生徒よりスカート丈が長かったり、ニーハイソックスやタイツ使用をしていたりで、肌が露出する面積は少ない。
 正ヒロインの役割として敵に囚われた時も、縛られ方は、エロい亀甲縛りや磔などではなく、胴をぐるぐる巻き。つららを浚った土蜘蛛は意外なほどに紳士的で、雪女の色香に迷った小物の蜘蛛妖怪たちが無数の手を伸ばした時になど、小物達を始末してつららの貞操を守ってくれたりもした。
 だから、体育祭の時の長袖ジャージ+短パンが一番露出度高かったかもしれない、という有様。温泉に行った回でも、素肌は晒していない。
 主人公は敵の攻撃で服が破けて諸肌を晒すことがあっても、入浴シーンがあっても、敵の母子がうっかり全裸だったりしても、裏主人公たるヒロインの一翼がよく服を破かれていても、正ヒロインは露出しない漫画、それが『ぬらりひょんの孫』。
 つららは、この風紀の乱れ切った現代において、稀有なほどに守られているヒロインなのだった。
 そんな彼女だからこそ、毎度毎度全国の視聴者の前に惜しげもなく裸体を晒す雪子姫の存在は、ショックが大き過ぎる。
 その為、つららは感情を制御することが出来ず、部屋の中に轟々と吹雪を吹き荒らしてしまった。
 部屋の温度は、今や氷点下。なのに襖は凍っていて、逃げられない。
 ぬらりくらりと余裕の表情で煙管を吹かす初代の唇はしかし青く染まっており、紐を自在に操るはずの首無の指は悴んでいる。青田坊と黒田坊と河童は、おしくらまんじゅうを始めた。
 3の口や豆腐小僧などの小物妖怪たちは、「悪ぃな、母さんにすまんって伝えてくれ・・・」「死なないで父さんっ!」、「寝るな、寝たら死ぬぞ!」「でも眠い・・・オレはもうダメだ。だから頼む、戸棚に隠したオレのコレクション(SM全集全三十巻)は燃やしておいてくれ・・・」「お前、遺言がソレでいいのかよっ!?」、「ずっと言えなかったけど、あたし、あんたのこと、本当は好きだ・・・た・・・」「オレも好きだーっ!死ぬなーっ!」、などと定番の雪山遭難劇を繰り広げている。
 そんな命すら危うい極寒の部屋で、だがしかし妖怪任侠奴良組の3代目総大将リクオは、夜姿に変化すると、怯むことなく、再度つららを抱き寄せた。

「つらら、そりゃあ違う。違うぜ」
「・・・・・リクオ、様?」

 長く靡かせた髪が半ば凍りついているというのに、さりげなくでこチューかましながら色気たっぷりの低い声で囁く主の所業に、頬からポロポロと氷粒の涙をこぼしながらも、つららは顔を上げた。
 リクオは、夜姿の標準装備である滴る色気をつららに注ぐようにして見つめ、凍傷寸前の指で優しく頬を撫で、髪を梳く。

「ぬらりひょんの孫は、閻魔大王の甥っ子とは趣味も立場も違うんだよ。あいつの雪女は内心まんざらでもなさそうだが、あいつを冷たく突っぱねてるだろ?だからあいつは、例え敵の手で剥かれてたんだとしても、惚れた女の裸を拝めたのをラッキーだと喜ぶんだ。だがな、オレは違う」
「違うんですか・・・・?」
 
 混乱の極みで思考が鈍っているつららは、最愛の主の腕の中でぼんやりと言葉を繰り返す。
 春なのに氷点下の部屋に凍える一同は、リクオに生還の望みを託して、邪魔をせずにこの主従を見守っていた。
 リクオは、皆に邪魔されずつららに抵抗されないのをよいことに、華奢なつららの身体を己の膝の上に乗せて、いい匂いのする黒髪に鼻を埋め、耳元にそっと囁いた。

「ああ。奴良リクオの雪女は、愛情の種類がちょいと微妙なとこだが、・・・・本当にまったくどうなってんだ?今更忠誠心と家族愛オンリーとか言われてもこっちは軌道修正無理だからお前が諦めやがれっ、てもんだが、とにもかくにも、主のことが好きで好きで大好きで、それを隠そうって気は一切無い。心も体も、みーんな預けてくれてる。だからな、オレは、ラッキースケベ的なことは一切求めちゃいない。そんな必要ねぇんだ。つぅか、オレのもんが他人に触られるとか見られるとか許せねぇ。オレの女が肌を晒す男は、生涯にオレ一人でいいんだよ」
「え、え~と・・・・?ん、ん~と・・・?」

 泣き過ぎた上に百鬼の心を捕らえる主の色気を至近距離で浴びて、つららの頭は常以上に回転がゆっくりだ。主の発言の意味とそこに篭められたエロい意図を察することができなくて、小動物みたいにちょこんと小首を傾げる。
 リクオよりずっと年上のくせに頑是ない童女のように無垢な所作をするつららが可愛らしくて、リクオは、まるで雪見大福のように白くてやわっこい頬に唇をおとした。

「つまりな、つららは心も体も未来永劫オレのもんだから、二人きりの時に、オレだけに見せて触らせろ、てことだ。わかるな?なぁつらら、お前の全てでオレを魅せてくれよ?」
「ふぇっ!?あ、あの、リクオ様っ!?」
「じゃ、じじい、こーいうことだから、オレら晩飯いらねぇから、明日の朝までオレの部屋立ち入り禁止にしといてくれ」

 自由な妖ぬらりひょんは、大胆不敵で行動力抜群。
 凍死寸前の一同が見守る中エロい文句を堂々と言ってのけたリクオは、泣くのも忘れて真っ赤になって慌てるつららをあっさり抱き上げて、一子相伝妖怪ヤクザキックで氷結された襖を一蹴すると、畏を発動して姿を消した。
 後に残るは、バカップルの戯れに巻き込まれた感満載な妖怪たち(一部冷凍されています)。
 一緒に視聴に誘われていた己の連れ合いが「あたしヤだ。結果なんて目に見えてるし」と断っていた慧眼をちょっと恨みながら、首無は着物の裾の霜を払った。

「なんだか、ね。露出度は高くても具体的な行為には及んでいない閻魔大王の甥っ子より、他の男どころか視聴者にも見せないけど実質アレな行為に及んでいそうなぬらりひょんの孫の方が、ヤバいのではないかなぁ。つららは実年齢的にまあいいとしても、リクオ様は中学生だぞ?いいのか?いろいろと。いろんな意味で」

 奴良組随一の気づかいの男は、亡き二代目から託された大事な和子の教育係として気になるらしく、ぶつぶつと何やら呟いている。
 だが、最悪の時期に無茶な嫁取りを敢行した、元祖自由な男は、ニヤニヤ笑いながらぷかぷかと煙管を吹かすのであった。

「『ぬらりひょんの曾孫』お目見えの日も近いかのぅ?」

 と。




≪本日の教訓≫
 有能で有名な先輩がいるのならば、その業績を考慮して見習うのもいいですね。そりゃまあありでしょうね。
 だけど、時代は移り変わって、性に奔放な書物が横行するからこそ貞淑な素振りに魅かれるとかいうこともありますし、全てはケースバイケースでございます。先達がご立派だからといって、あなたにも同じ事例が当てはまるとは限らないもの。
 そこいらへんを熟考の上、後悔なきように己の生き様をお選びくださいませ。




「リ、リクオ様っ!な、何をなさるのですか!?もうっ、元服なさったのですから、悪戯はお止めくださいっ!・・・はわわっ!ぁんっ!あっ、そこダメッ!」
「何が悪戯だ。こりゃあ教育だよ、つらら。察しの悪い下僕に、主の好みをちゃーんと教えてやろうってんだ。大人しく聞いとけ。オレはなぁ、喰えもしねぇ雪見大福を皆で眺めるより、一人こっそり、十重二十重の結界に守られた前人未到の雪原に到達して、己の痕をつけたい派なんだよ!」
「やぁんっ!ダメです~っっ!」 



【おしまい】



 いや、雪子姫がすんごい脱いでたから、ちょっと気になりまして(笑)。
 
スポンサーサイト
コンテントヘッダー

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

greatberryking

Author:greatberryking
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。