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ロマンチックください

 清十字団+リクつらss(リクオあんまり出てこないけど)。

 ・・・・えーと、毛倡妓と氷麗は仲良しだと思います。
 あと、氷麗は、実はリクオよりだいぶ年上なので、こーいうのもありかと思います(笑)。
「わかってない。あんたわかってないわ、首無。こういうのはね、ロマンが必要なのよ。ロマンチック、それが何より重要なの。あたしに任せなさいよ。毛倡妓姐さんの実力、魅せてやるから」




*****



 木枯らしがぴゅうぴゅう窓ガラスを揺らす初冬の放課後、いつの間にやら有耶無耶の内に(生徒会長の権力をもってして)ゲットした部室である社会科準備室では、今日もまた、学校一わけがわからない部活である清十字団が活動していた。
 といっても、団の活動に熱心なのは団長の清継一人。他のメンバーはというと、島は、滔々と稲生物怪録への自説を語る清継に意味がわからないながらも相槌を打っていて、女子たちは雑談に花を咲かせていた。リクオは、どうやら、恒例の頼まれ事で遅くなる様子。

「ねぇ、今日こそ教えてよ!ていうか、今日は教えてくれるまで離さないからね!」
「そうそう、今日は逃げられないよ~!」
「えっ!?あ、あの、巻さん?鳥居さん?」

 両脇からがしっと腕を掴まれて、氷麗は困惑した。
 慌てて、助けを求めて目で主を探すが、今は不在だ。氷麗は、先に行って清継にこのプリントを渡してくれと頼まれて頷いてしまったつい先程の己を、さっそく後悔した。一緒にくればよかった。
 腕を捕まえる彼女らより実はずっと年上の氷麗であるが、素直な性質が災いして、嘘や誤魔化しは下手くそなのだ。この状況では、雪山殺しで眠らせて有耶無耶にする、などという雑な対応は不可能だし。人を煙に巻くことが得意な主がいてくれない場で問い詰められると、ボロが出そうで冷や冷やする。 

「さーて、話してもらおうか!及川氷麗さんは、奴良リクオ君と、いったい、どういうご関係なんですか~?やっぱ恋人?」
「こ、こここ恋人なんてそんなっ、滅相もないっ!」
「えー、じゃあ、どういう関係?」
「ふ、普通に、お友達です。ええ、普通の」
「普通じゃなーいっ!あんたたちの関係が、普通なわけあるかーっ!」
「そうだよ。いっつも一緒に登下校して、お昼ご飯も一緒に食べてて、しかも、奴良が食べてるのは氷麗ちゃん手作りのお弁当って噂で!」
「・・・・・それに、よく、2人でこそこそ話してるよね?あと、なーんか及川さん、奴良君のことにやけに詳しいよね?」

 とうとう、巻と鳥居だけではなくカナまで参戦してきた。
 自覚はしていないながらも『幼馴染のリクオ君』に対してある種の執着を感じてるカナの観察は、好奇心のみの鳥巻コンビよりも鋭い。
 ますます誤魔化すのが難しくなって、氷麗は更に慌てた。

「いえ、あの、それは・・・そんなことないですっ!」
「あるよー。だって、こないだ清十字団で奴良ん家行った時だってさー、私がトイレの場所聞いたら、及川さんが教えてくれたじゃない?」
「そ、それは、私も前に教えてもらったので、覚えてて・・・・」
「それだけじゃないよー。鋏がいる時に、戸棚から、『はい』って出してくれたでしょ?」
「そ、それも、前に借りた時に・・・・」
「・・・・・・及川さん、奴良君のお母さんとも仲良いよね。奴良君のおじいちゃんも、私たちのことは『嬢ちゃん』だけど、及川さんのことは『氷麗』って呼んでた」
「そういえば、あの日、奴良君が、『氷麗、接着剤どこやったっけ?』って言ったねぇ。なんで、部屋の主のはずの奴良君が、及川さんに、物の場所を聞いていたんだい?」
「えぇえ!マジっすか、及川さん!?」
「いやっ、そんなっ!?そのっ・・・・・」

 ちょうど自説の解説が終った清継と島まで会話に加わったので、氷麗は目をぐるぐるさせて慌てふためく。
 頼みの綱の主は、まだ来てくれない。鳥居と巻の両腕の拘束は緩まないし、正面から見据えてくるカナの眼光は厳しい。
 これでもまだ、ゆらがいたら、清十字団で唯一リクオと氷麗の正体を知る彼女のこと、後で食べ物を貢ぐ見返りなどで庇ってもらえたかもしれないが、ゆらは京都へ帰ってしまった。
 地味だが、かつてない程にピンチだ。 

「怪しいことは、まだまだあるよー。奴良って基本的に丁寧なしゃべり方してて、普通は相手のこと『君』って言うのに、氷麗ちゃんのことは『お前』って言ってるし」
「あ、そう言われてみればそうだね!そうだよねぇ、他の人相手と、なーんかしゃべり方違ってるよね!氷麗ちゃんにだけ、時々命令形でしゃべってる。名前呼び捨てにするのも、氷麗ちゃんだけだよねー」
「・・・そうだよね。それに、及川さんも、リクオ君のこと時々、『若』とか『リクオ様』とか呼んでるよね?」
「というかっ、なんか、いつも距離が近いっす!奴良のやつ、及川さんにくっつき過ぎだっ!」
「いやいや、どちらかというと、及川さんの方が奴良君に近づいていくイメージが・・・・ああ、でも、奴良君は女性に対して紳士的だが、及川さんにだけは躊躇い無く触るね。そういえば」
「は、はわわ、そ、それは・・・・」
「「「それは?」」」

 氷麗を取り囲んだ一同が、ぐぐっと身を乗り出す。
 リクオはまだ来ない。
 俯いて長い溜息を一つ吐いてから、氷麗は腹を括った。できればこの手は使いたくなかったが、もう仕方がない。
 

「・・・・わかりました。お話しましょう。ですが、これから話すことは、他の方には他言無用に願います」

 こうして、『物語』は語られることとなった。




*****



 私はこういうことが上手くありませんので、どこからお話すれば誤解が無く伝わるのか、よくわかりません。話が前後したりもつれたりしてしまうかも。
 けれど、他ならぬ皆さんにお話するのですから、ちゃんとお話したいと思っております。
 ですから、できれば、最後まで全部聞いていてくださいね?

 私には、今はもうほとんど治ったのですが、生まれつきの病気がありました。
 日光や熱に弱いという病で、今でもやはり、夏場の直射日光などは辛いです。
 昔はもっと酷くて、昼間に外に出ることは難しかったんです。だから、小学校にも通っておりません。
 私の家は母子家庭で、母は、奴良家にお仕えしておりました。
 それで、リクオ様のおじい様が、母子揃って奴良家に住むように勧めてくださったんです。それなら、仕事の合間に母が会いにきてくれたりお昼ご飯を一緒に食べたりできますし、母としても、誰もいない家に病気持ちの私を1人置いておくより、安心できますから。
 それに、昼日中の外出が難しい私ですが、家の中ならば自由に動けます。奴良家は広いから、狭い自宅より、よっぽど子供にとってよい環境だろう、というお話でした。
 ありがたくこのお申し出を受けて、私たち母子は奴良家に住むこととなりました。これが、私が物心つく前の話です。
 ですから、私とリクオ様は、同じ家で育ったのです。先程皆さんから指摘された『奴良家に詳しい』理由は、これでおわかりいただけたかと思います。

 私はリクオ様と一緒に育ちましたが、リクオ様はご本家の跡取りで、私はそこに仕える者の娘です。
 ですから、昔から、『リクオ様』と呼ぶのが普通だったので、学校では止めてくれと言われているのに、ついついその癖が出てしまう時があります。
 馴染んだ呼び名というのは、変えるのが難しいものですね。

 お世話になっているだけなのも心苦しいですし、リクオ様が学校に行ってらっしゃる間、1人で遊ぶのも寂しくて、私は、自然に奴良家の家事を手伝うようになりました。そうすれば、若菜様やお手伝いのお姉さんたちに構ってもらえますし、褒めてもらえますし、何より、人の役に立てると思えるのは嬉しいことです。病気で学校に通えなかった身としては、特に。
 ですから、私は、自分の意思で、奴良家のお料理やお洗濯やお掃除をしていますし、その働きに応じて月々のお小遣いをいただいておりますので、これは立派な仕事であると、誇りを持っております。
 ええ、そうです。
 リクオ様のお弁当作りは、私の大切な仕事です!

 母ですか?
 母は現在、単身赴任中です。
 私は、ほとんど治ったとはいえ病気のこともありますし、慣れた土地の方が安心だろうということで、母にはついて行かずに、奴良家でお世話になっております。
 
 いえ、それは、母がリクオ様にお願いしたんです。
 いずれ病気が治って学校に通えるようになった時に、奇異な目で見られないように、出来れば言わないでやってくれ、と。
 今はもうそんなことはないのですが、病気が酷かった当時は、うっかり強く日光を浴びると、湿疹などが出ることがあって、母は、私が苛められまいかと心配していたのです。
 お優しいリクオ様は、母の意を汲んでくださいました。
 ですから、幼馴染の家長さんでも、一言も私のことを聞いたことがなかったのですよ。

 そうですね。
 私は、リクオ様の『幼馴染』と呼べるかもしれませんね。でも、当人たちの感覚としては、むしろ、『家族』かと思います。毎日毎食一緒にご飯を食べて、同じお家で寝泊まりしていますからね。
 今は病気も治って、私も外に出られるようになりましたが、それまでは、奴良家の中だけが私の世界でした。もちろんテレビなどは見ておりましたけど、家の外のことは遠い世界のように感じておりました。
 だから、私が時々、世間知らずなことを言ったり、おかしな勘違いをしたとしても、大目に見てくださいね?

 いいえ。私は幸せでしたよ。
 リクオ様のおじい様も、若菜様も、他の方々も、皆さま優しい方で、私はよくしていただきました。
 リクオ様が学校に行ってらっしゃる時間は、少し寂しかったですが、新しい料理を習って、『今夜リクオ様にコレを食べていただこう。美味しいと言ってくださるかしら?』と思うのは楽しかったですし。
 リクオ様がお帰りになったら、私の家事は免除になっていて、いつも、今日何があったのかをお話してもらいました。 
 


*****

 
 ここまで話して、氷麗は、周囲の様子を伺った。
 好奇心旺盛でちょっとお騒がせだが基本的には人が良い鳥居と巻は、部活仲間の思いもかけないドラマチックな設定を素直に受け止めている様子。
 自身も金持ちのお坊ちゃんな清継は、氷麗の話を在り得ることとしてすんなり受け入れていた。
 つららに想いを寄せる島は、明かされた想い人の秘密に、身を乗り出して聞き入っている。 
 最大の難関であったカナは、珍しい話ではあるが、これまで抱いていた疑問への解答になっているので、些か微妙な表情ながらも納得しようとしているようだ。
 これならイケそう。ありがとう、毛倡妓。
 と、安堵した氷麗は、心の中で礼を述べる。
 いつかこういう時の為に、と言って、この『物語』を用意してくれたのは、毛倡妓だった。
 最初は、気遣いの男首無が、何か策がいるだろうと言いだしたのだが、首無の案は、同席した毛倡妓によってダメ出しされてしまった。首無の案は、『病気』と『同居』の下りがなく『親の代の主従関係』と『家族ぐるみの付き合い』だけの、シンプル故にまだしも現実的なストーリーだったのだが、遊郭で育って女のワイドショー的好奇心が如何なるものかをよーく理解している毛倡妓は、この案では足りないと判断したのだ。
 「『物語』が必要なのよ。『嘘』で誤魔化すんじゃなくて、『物語』で魅せるの。虜にするのよ。設定をドラマチックにしてインパクトを持たせ、ロマンチックな演出をプラスすれば、女の子たちの好奇心もお腹一杯になるわ。そうしたら、以降、余計なツッコミは受けないで済むのよ。氷麗がこの先何かドジをやらかしたとしても、一度『物語』に酔わせてしまえば、自動でフィルターが掛かるから、フォローが利くはず」
 というのが毛倡妓の言い分で、周りの様子を見るに、これはどうやら正しかった模様だ。
 だったら、最後まで毛倡妓の言った通りに頑張ろう、と氷麗は気合を入れ直して、話を続けた。

 さぁ、人間たち、私の『物語』に魅せられなさい!




「氷麗ちゃん、大変だったんだね・・・・。騒いじゃって、ごめんね」
「いいえ。こちらこそ、秘密にしていてゴメンなさい。でも、せっかく病気が治ったんだし、先入観を持って欲しくなかったんです。だから、このことは、他の方には内緒にしていただけるとありがたいです」
「もちろん、秘密にするよ!『ここだけの話』で広まっていく噂話じゃなくて、ちゃんと本当の秘密に!」
「ふふ。ありがとうございます」
「・・・・・そっか。だから、リクオ君が話してくれたことなかったのか。なんか水臭い気もするけど・・・・」
 
 鳥居と巻は、『物語』をすっかり信じ込み、感情移入してくれたようだ。
 しかし、リクオとのつき合いが長いからこそ、カナはまだ少し抵抗を見せる。
 カナに今後何も疑問を抱かせないのが『物語』を語る目的なので、氷麗は、『ロマンチックな演出』でトドメを差すことにする。
 ふいに、僅かに肩を落とし、長い睫毛をそっと伏せて視線を落とし、物憂げな表情を作った。
 普段は元気な氷麗がそんな表情をすると、元々の顔立ちが秀麗でひどく色が白いこともあって、ドキリとするような色香が漂う。
 氷麗はまだ未熟者だが、それでも、雪山で遭難した男を虜にする妖なので、ちゃんと心の準備があれば、これぐらいのことは簡単だ。

「リクオ様は悪くありません。母が頼んだのですし、私もお願いしたんです」

 氷麗は、ため息を一つ落としてから、そろそろと視線を上げ、ゆっくりと皆の顔を見まわしてから、眉を下げて小さな笑みを浮かべる。
 それは、まるで、自らを恥じているような微笑み。
 それに目を奪われた一同は、氷麗の『物語』に引き込まれていく。

「・・・私、リクオ様のお話を聞くのが好きでした。ワクワクして、ドキドキして、眩しかった。でも、ね、やっぱり、羨ましいとは思っていました。私が行けない場所でリクオ様と一緒に居られる方を、私には共有出来なかった思い出を。だから、私が行けない外の世界の人たちに、私のことを知って欲しくなかったんです。外の世界の人に憐れまれるなんて、イヤ。自分を惨めだと思ってしまいそうだから。外の世界の人との接点がなければ、リクオ様のお話を、物語のお話のように思っていられるでしょう?そこに登場できない自分に歯噛みせずに、心穏やかに、家で待っていられるでしょう?」

 ここで一度言葉を切って、氷麗は、膝の上に置いた自分の指先を見つめるように、俯いた。そうすると、小柄な彼女が更に小さく見えて、皆ははっとした。
 そして、『物語』の中の少女の語られなかった痛みに、寂しさに、不安に思いを馳せる。 

「私は、幸せでした。どこに行っても、・・・・どんなに遠くに行っても、誰に会っていても、リクオ様は、私が待つこの家に帰ってきてくださる。だから、私は幸せだったんです。・・・本当に」

 氷麗は、僅かに震えた声でこう言って、仕上げに、顔を上げて花が咲くような微笑みを一つ零す。
 一同が、息を飲んだ。
 言明されなかったが確かに伝わってくるのは、閉じた世界で少女が抱いていた想い。
 彼女にとって、少年は、どれほど眩しかったことだろう。・・・・愛しく恋しかったことだろう。
 だが、きっと、少年にとっても同じことなのだ。気心が知れているはずの幼馴染にすら少女の存在を明かさずにいたのには、頼まれたからという以外に、この少女を独り占めしたかったという気持ちがあったに違いない(そういえば、彼は今も彼女に関して秘密主義だ)。そして、色恋に疎そうな彼だけど、こんなに健気な想いを寄せてくる少女を独り占めして、何も感じなかったはずはないだろう。
 
「・・・・リクオ君て、小さい頃は放課後に学校に残ってサッカーとか、成長してからは頼まれ事とかやって、遅く帰ることはあったけど、一度家に帰ってから誰かと遊びに行くって、そういえばなかった気がする。それに、誰かを家に招くとかもなかったけど、それは、・・・・家に及川さんがいたからなんだね」
「そ、そういえば、確かに、奴良が外で遊ぶ姿は見た覚えない、かも」
「そりゃあね~、家で氷麗ちゃんが待ってるんだもん。わざわざ外には行かないよね」
「えっ!?わ、私、リクオ様のお邪魔をしてしまっていたのでしょうか!?」
「そんなことないよっ!奴良が氷麗ちゃんと一緒に居たかったんだよ!だから、氷麗ちゃんは悪くないよっ!」
「そうだね。奴良君が、帰宅してから外に出ていくことがなかったのなら、それは、彼が彼自身の意志で、及川さんと一緒に居ることを選んだ、ということだろうね」
「そ、そうでしょうか・・・?」
「「そうだよ!絶対!」」

 鳥居と巻が力強く断言すると、氷麗は、光差すような眩しい笑顔を浮かべた。
 カナは、『物語』の迫力とその笑顔の眩しさに気圧される。
 『物語』に感情移入した清継は満足げに頷き、島は何やらちょっと涙目。
 いつの間にやら、社会科準備室には、『物語』の少女を応援する空気が生まれていた。

「ごめん、皆!遅くなっちゃって!・・・・・あれ、何かあった?」
「リクオ様っ!?い、いえ、何もありませんよっ!」
「ああそうだ。何もなかったとも。では、メンバーも揃ったことだし、週末の調査の話をしようか!」 
「?」
 


*****


「毛倡妓~!ありがと!うまくいったわ!皆、『物語』に感動してた!」
「ふふふ。やったわね!見たか、毛倡妓姐さんの実力!」
「見た見た!さすがね!」

 学校から帰宅するなり厨房に駆け込み、満面の笑みで毛倡妓の豊かな胸に飛び込む氷麗。
 氷麗をしっかり受け止めて歓声を上げる毛倡妓も、とてもイイ笑顔だ。

「後は、あんたが『物語』の設定さえ忘れなかったら、相手が自動で補正を掛けてくれるし、外部の詮索からも守ってくれるはずだからね」
「うんうん♪」
「それに、リクオ様に想いを寄せてる娘は無理でしょうけど、他の娘はあんたの味方になるわよ。きっと」
「ホント?よかったー」
「・・・・毛倡妓、こないだのは、そういう策だったのか?」
「あら、いたの首無?やーね、『策』なんて風情のない言い方しないでよ。これは、『物語』。好奇心を満たしてやった上に、美しい『物語』で魅せてあげたんだから、お礼を言って欲しいぐらいよ。ねー、氷麗?」
「うん、毛倡妓♪」

 毛倡妓と氷麗は元々姉妹のように仲がよく、どちらも大層見目がよいので、抱き合って笑み交わす姿は、とても絵になる。
 絵にはなるが・・・・何やら、大物妖怪と対峙した時のような畏を感じて、首無は肩を竦めた。
 寒い(心が)。

「いや、でもな、・・・・ちょっと悪ど過ぎないか?」
「はぁ?あんた何言ってんの?色男のくせにわかってないわねぇ。あのね、・・・・・」

 抱き合っている毛倡妓と氷麗が、真顔になって、首無を見つめた。
 闇夜の森のような暗緑色の瞳と、月下の雪原のような黄金螺旋の瞳が、顔を引き攣らせた首無を映す。
 そして、彼女たちは言った。

「「恋は戦争なのよ!」」




*****


「・・・・リクオ様、がんばってくださいね。強く生きましょう、お互い」
「は?何?今日何かあったの?さっき氷麗も変だったし」
「いえ、ただ、『ろまんちっく』とやらの舞台裏は知りたくなかったなぁ、ということです。ええ。はい」
「・・・・・何があったの、ホントに?」



【おしまい】
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