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invincible

 鋼の錬金術師。ロイアイ。
じっくりばっちりしっかり恋人とお互いの真意について語り合おうと言うのならば、TPOを選ぶべきだって事くらいわかってるさ。というわけで今日は完璧。仕事帰り2人きり、逃げられないし話題を逸らすことも出来ない車内、車は人通りの無い道に止めている、というのは我ながら完璧なシチュエーションだと思われ。
 あ、ちなみに2人とも明日は非番なんで時間制限も無しな。
 というわけでさあ答えてくれたまえリザちゃん、君は私をどう思っているね?
 


「『どう』とおっしゃられましても・・・・私は貴方の部下です」
 腕の中に閉じ込めて優しく額にキスをしてから問うたと言うのに、この声の冷静さったらない。何かがひどく悔しいがまだまだここは第一ラウンド。君のジャブをかわし続け今宵恋の勝者となるのは私だそーいう予定だ。今決めた。
「そんな答えは不可だ。そんな意味で訊いたのではない。・・・君は私を好きかな?」
 まずは軽く。
「好きです」
 よし、好感触。だがここで油断するほど私は甘くは無い(君に鍛えられた)。
「鋼のは好きかね?アルフォンス君は好きかね?ハボック少尉は?フュリー曹長は?ヒューズは?」
「エドワード君はとても好きです。アルフォンス君もとても好きです。ハボック少尉は好きです。フュリー曹長も好きです。ヒューズ中佐はひどく好きです」
 見事、見事なストレート。ばっちりしっかりボディにキたよ。ああリザ、君ったらいつも素晴らしいね。
 だが、今夜の私はこれぐらいでは諦めない。さあ第二ラウンド開始だ。



「君と私はお互いに合意の上で、これまで幾度もセックスをした。そうだね?」
「はい」
 照れもせず頷く君は私をまっすぐ見ている。静謐な光を湛えていつも私を見ているその瞳の水面を揺らしてやりたいと思う私の衝動は真っ当なはず。だが、例えその赤金色の瞳を抉りだしたとしても望みが叶わないような気がするのは何故だ。気のせいかな気のせいだな気のせいに決まっている。
 さあ、こちらからフックだ。
「では、初めて寝た日に君が私を受け入れたその理由は何かな?」
 初めて彼女を抱いたのが何時どんな状況だったかとてもよく覚えている。彼女が抵抗しなかったことも。
 不都合なこと無理なことははっきり言う女性であったはずだから、全く抵抗されなかったというのはつまり受け入れてくれたと言うことだそうだそうに違いない。
 そうだね?
 溢れそうなほどの期待を篭めて見つめた君の瞳はやはり静かで。その深い色の底に何があるのか何かあるのかが、私にはちっともさっぱりわからない。
「ピルを飲んでおりましたので」
「は?」
 完璧に油断しているところに攻撃が来ると、脳が状況を把握しきれなくて何が起こったのかよくわからない。痛みとかより、衝撃。わかるのは衝撃だけ。
 問い返す自分の声が狭い車内の中でひどくマヌケに響いたことだけは、なんでかよくわかったけど。
「ピルを飲んでおりましたので、避妊の点で問題はないと考えました。性病も患っておりませんし」
 一発で床に沈んでKOされてもちっともおかしくない見事なパンチだ、リザ。もはや既にここまで来たら天晴れな君を褒め称えたいよ。
ナイスパンチ。
「・・・いや、そういうことじゃなくて。その、気持ち的に、こう」
 声がどんどん小さくなった。いやだって、これはキッツイ。
 私はそれほど多くを望んでいるつもりは無いのだよ、なんて言うの、ちょっとでいいから愛されてる実感が欲しかったのだよ。そう、愛が欲しかった。
 ホークアイ中尉はマスタング大佐に人生を賭けていて命を捧げていて、これ以上ないほどの忠誠を誓ってくれているのは、それはもうよくわかってるちゃんとわかってるさ。だが、だがしかし!
 リザは俺を愛してる!?
 と、何度キスをしても抱いてもすごく不安に思うので今夜その不安を解消しようと思っていたのだが、今かなり打ちのめされてダウン寸前。
「・・・・君を愛してるんだ」
「はい」
 抱き寄せて耳元で囁いてみたのに、その返事。リザは拒否しないし嫌がらないけど絶対に同じ言葉は返してくれない。で、もーそろそろそれを照れだとか解釈するのは自分的に苦しくなってきている。や、甘い空気全然無いし。
「君は俺を愛してるかな?」
 気力を振り絞って、がんばってこの問いを口にした。これは言うの初めて。「いいえ」とか言われたら地獄の底までへこむこと確実なので怖くてどしても言えなかったので、絶対に「いいえ」とか言わないでくれ。言われたら平静でいられる自信ナッシング。
 君だとて、イーストシティを焼け野原にはしたくあるまい?
「はい」
 まったく偽りの気配が窺えない至上の誠実さをキープしたまま、君は頷いた。
 あー、よかった。よし、好感触・・・・・てこれ、さっきと同じパターンかなもしや?
 イヤーな予感を感じつつ、確認のために訊いてみる。
「・・・・鋼のとか、アルフォンス君とか、ハボックとかは?」
「エドワード君もアルフォンス君もハボック少尉も、愛しています」
 ああっやっぱり!
 頭のどっかでわかってた気もするのに、それでも性懲りも無くも一発同じパンチを喰らう俺がなんだか可哀相。ああもう、すごく可哀相。
 遠くで犬が鳴く声が聞こえたが、・・・・・・・泣きたいのは俺だ。



 お話があるとのことでしたがもう終わりですか車を発進させてもよろしいですか?とかこれまた冷静に君が言うので、慌ててハンドルにかけた手を押さえて止めた。
 ここで終わっては何もならない。だから君のパンチがいくら見事でも打ちひしがれているヒマなんて無い。だって今宵は恋の勝者になる予定なんだ!
 負けるな、ロイ・マスタング!立て、立つんだロイ!
 ・・・・さあ、第三ラウンドの開始だ。
「恋愛感情という言葉を知っているかね?」
「一応、存じ上げているつもりですが」
「よろしい。では、私が君を『愛している』のは、恋愛感情で『愛している』という意味だと知っていたかね?」
 この言葉には反応があった。まっすぐなはずの君の眼差しが微かに揺れる。おおっイイ感じかも!?
「・・・使える部下としては『愛して』くださっていないのでしょうか?」
 でも、少し不安げな声で紡がれた台詞はこっちの予想の範囲外。想いを注ぎ込むようにこちらを見る君の赤金色の瞳・・・・おりしも夜で2人きりで車内で人通りはないのでちょっとドキドキするかな。えーと、これはお誘い?
「え、あ、いや、もちろん、有能な部下としても『愛している』よ?」
 そう言ったら、珍しく表情が柔らかくなって。
「ありがとうございます」
 ほぼ笑顔だ。ああ、可愛い。
 めったに見られないリザの笑顔を至近距離で2人きりで見られたのはとても嬉しくて胸がぽかぽかする。あー、なんか元気になったな。イイ気分だ。
「うん」
 こっちも笑顔になった。
 そして、その勢いのまま一番知りたいことを口にする。
「えーと、それでだね、君は私を恋愛感情で『愛している』かな?」
 自分内予想では、ここでYESの返事が来るはずだった、てゆーかYES以外は考えたくないから考えないし怖くて考えられなかったし。
 さあリザ、ベージュ系のルージュが塗られた(私はもっと鮮やかな色でも似合うと思うんだけどなー、でも君プレゼントしても使ってくれないしなー。や、ベージュも似合うけどさ、なんつのもっとこう・・・)君のその唇で、私への愛を告げてくれっ!遠慮はいらないぞ!
 ワクワクしながら次の一言を待ってると、リザは、前に不意打ちでナマコを食べさせた時と同じような、今口の中に入ってるコレなんですか食べ物ですか全然まったく知らない感触ですけど本当に食べられるんですか?みたいな感じで、訝しげに眉を寄せた。
 あれ?ここは愛の告白シーンだよリザちゃん?
 でもなんだか彼女には私の意気込みだとかが全く伝わっていない様子で、とりあえずナマコを噛んで飲み込んだ後みたいに、深いため息を吐いた。額を押さえながら。
 そして言った台詞が。
「・・・・大佐、私お腹が空いているのですが。大佐は空いていらっしゃいませんか?お腹が空いていると考えが纏まりにくいことがあると思われませんか?」
 ああそうかそうだね、私たちは3時のおやつ以降何も口にしていないよそー言えば。今は夜の8時過ぎだから、そりゃあお腹が空くよね。うん。
 ごめんごめん、すきっ腹で愛の告白なんてマヌケもいいところだ。このロイ・マスタングともあろうものがうっかりしていたよ。女性を空腹なままにしておいてはダメだね。ごめん。
「あ、ああ、それはそうだな。私としたことがうっかりしていた。では、どこかレストランへ」
 私が脳内でムードがあって美味しくて近いレストランのリストアップを始めたら、君は首を振った。
「いえ、昨日食材を買い込んで仕舞いましたので、大佐がよろしければ、私のうちへいらっしゃいませんか?」
 お誘いだっ!珍しい君からのお誘いだ!
「もちろん、行くとも!」
 私が浮かれていたことを、誰が責められようか。



 リザの手料理を堪能して(そんなに手の込んだ料理とかじゃないけど、私はOKさ。私が作るのよりかは美味しいしね)、シャワーを浴びて(リザの部屋には私の着替えが常時置いてある)、甘い一時を堪能して、それからリザのベッドで眠りについた。
 なんか忘れてたような気がしないでもないが、3回もするとさすがに疲れて眠い。愛しの君を腕に抱き締めた私の瞼はもう朝になるまで開かない。
 何を忘れたのか思い出せないけど、まあいいや。手料理食べさせてもらったし3回もしたしまあいいや。
 そうして、私が安らかな眠りの国へ旅立とうとしたその瞬間、聞こえてきた君の声。
「よかった。変なことを言い出したのは、やっぱりお腹が空いていたからだったのね」
 ・・・・・・・・・思い出したっ!!



 俺はよーく知ってるんだけど、君に悪意は無い全然まったくちっともこれっぽっちも無い。俺のことすごく好きで俺の全てを赦すつもりでどこまでも俺に着いてくるつもりの君は、まるでもはや俺のためだけの女神。
 それはよっくわかってるんだけどもっっ!
 だけどもういっそここまで来ると、君に悪意が無いってことの方がミステリーだよリザちゃん・・・・・

 翌朝、枕が湿っていたのは雨のせい。降水確率0パーセントだけど雨のせい。雨のせいったら雨のせいなんだぁっ!!


【end】
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