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ナーサリーライム 第2夜 Mary, Mary, quite contrary

 ナーサリーライムの第2夜は、森に棲む魔女と魔女見習いの1シーン。
  Mary, Mary, quite contrary,
  How does your garden grow?
  With silver bells and cockleshells,
  And pretty maids all in a row.





 六軒島の森は、真昼でも薄暗い。
 木々は天を埋め尽くさんと枝を張り出し、丈高い草が野放図に茂っている。
 落ち葉が吹き溜まった兎の巣穴は、天然の落とし穴。澄んだ泉には、毒茸の胞子が浮いている。蜘蛛たちは、枝の隙間に巣を掛けて獲物を待っていた。
 この島に伝わる古い伝説の通りに、木陰から、繁みの奥から、洞から、黒い影がすぅっと現れそうな、そんな不気味な雰囲気がある。
 ここは、ニンゲンが立ち入らない、ニンゲンを歓迎しない場所。
 しかし、そんな森の中を進む少女がいた。
 黄色いぬいぐるみを大切そうに抱いて、少女は、昼尚暗い森の中を行く。
 フリルを多用した服装は森を歩くのに適しているとは言い難いのに、小枝にも蜘蛛の巣にも引っかからずに、軽やかに駆けてゆく。
 青味がかった瞳を、きらきらと輝かせて。
 そんな少女を導くのは、一羽の黄金蝶。ひらひらはらはらと、光の粉のような鱗粉を撒きながら、薄暗い森を飛ぶ。
「さくたろ、ベアトに会わせてあげるからね!ちゃんとご挨拶してね!」
「うりゅ~。ぼく、ちゃんと出来るかな?」
「うー!さくたろなら大丈夫!」
 朗らかに笑いながら、足取りも軽く駆けてゆく少女。やがてたどり着いたのは、見上げるほどに高い高い、柵と門。門の外から窺い知れる中の様子は、まだまだ森が続いているように見えた。
 門は、開け放たれている。かつては、憐れなる傀儡を逃がさない為に、常に閉ざされていたというのに。
 少女は、一度も、この門に阻まれた事がない。だから、躊躇いもなく門を越えて、中に入った。
「おじゃましまーす!うー!ベアト―!」
 すると、驚いたことに、少女の眼前に薔薇庭園が広がる!
 柵の外から見えたのは鬱蒼とした森の続きだったのに、今や青味がかったどころか真っ青に変じた少女の瞳に映るのは、黄金の蝶たちが舞う、地の果てまで続きそうな薔薇庭園!
「うりゅ~!真里亞!薔薇が!蝶が!たくさんだよ!」
 少女の腕に抱かれたライオンのぬいぐるみが、驚いてじたばたと暴れる。
「魔女ベアトリーチェの館へようこそ、我が友、右代宮真里亞ァァァ!!待っておったぞっ!」
 少女の前に黄金の蝶が集い、金の光を放って散ると、ドレス姿の魔女が現れた。青い瞳に再会の喜びを讃えた魔女は、大きく腕を広げる。
 少女は、その腕の中に飛び込んだ!
「うー!ベアトリーチェ!」
「うむ!真里亞!」
「むぎゅ」

 サンドイッチされたライオンがダウンするまで、魔女たちは再会を喜びあっていた。
 黄金蝶が遊ぶ、この薔薇の庭園で。



【おしまい】
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