コンテントヘッダー

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
コンテントヘッダー

ナーサリーライム 第1夜  Hush, baby

 このシリーズでは、マザーグースを題材に、うみねこの本編沿い(のつもり)sssを書いていくつもりです。

 第1夜は、魔女と戦士の1シーン。


 
 慈しみ深き闇が支配する時刻に、瀟洒な館の1室で、はらはらひらひらと黄金の蝶が舞う。
 蝶は、躊躇うように大きく円を描いた後、ゆっくりとベッドに近づいた。
 ベッドで眠るのは、赤毛の男。少年と青年の境界にいる彼は、凛々しい顔立ちだが、眠ると幼さが強調されるようだ。
 先刻まで深く顰められていた眉は緩み、怒りと嘆きと戦意を湛えていた瞳は瞼の下に隠されている。そんな状態で、「すぴー」なんて呑気な寝音を立てているものだから、彼女は、つい、うっかり、呟きを漏らしてしまった。
「・・・・・そなた、バカなのか?」
 彼は、一昨日昨日と散々な目に合った。暴虐にして悪辣なる魔女に、肉親を、親族を、知人を殺され、自身も殺された挙句、蘇生された。そして、それでも屈服せずに、怒りと嘆きを糧に魔女に挑んだ。
 なのに。
「何故、妾の館で眠れる?怖くはないのか?」
 恐ろしいはずの、忌み嫌っているはずの魔女の館ですやすや眠る彼に対して、彼女は呆れた声を出す。
 枕元にしゃがみこんで、ベッドの端に顎を乗せて、今にも泣き出しそうな顔をして。
「悲しかったであろう?怖かったであろう?悔しかったであろう?腹立たしかったであろう?・・・・妾を、憎んだよな?なのに、魔女の館で眠るなど、そなたは警戒心が無さ過ぎる。こんなふうに、眠るなんて・・・・」
 爪先まで完璧に整えられた細い指が、おずおずと彼の頬に伸びる。分不相応な品を望んだ盗人のように罪に慄きながら。青い瞳を表面張力ギリギリまで潤ませながら。
 指は伸びる。

「右代宮戦人の、バカ・・・・・」
 全ての罪を覆い隠す優しい闇が支配する時刻に、どうしてもどうしても触れられなかった指で溢れる涙を拭いながら、彼女は呟いた。

  震える声も、零れた涙も、誰にも届かない。 
 




  Hush, baby, my dolly, I pray you don't cry,
  And I'll give you some bread, and some milk by-and-by
  Or perhaps you like custard, or, maybe, a tart,
  Then to either you're welcome, with all my heart.


【おしまい】
スポンサーサイト
コンテントヘッダー

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

greatberryking

Author:greatberryking
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。