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林檎

 シャーマンキング。アンナとまん太(CPは葉アンナ)。
 ねえ、林檎に抱く印象といったら、どんなものがある?
 赤い、甘い、甘酸っぱい、爽やかなどなど、いろんなものがあるだろうけど、今のぼくは「怖い」と答えるよ。
 何故ってね、それは・・・・・・






 それは、昨日のコト。

「あ、あの、アンナさん、何であんなに林檎を買ったの?」
 ぼくは、殴られる不安に怯えつつも、居間でなにやら針仕事をしているアンナさんに質問をした。
 細く白い指先を休みなく動かしながら、アンナさんは手元から顔を上げてくれた。アンナさん特有の貫くような視線が、ぼくを射抜く。
 条件反射的にそれに怯んで、ぼくはちょっと及び腰になる。
ぼくは探究心旺盛な性質だ。それ自体は悪いことじゃない。むしろ、学問をする上では重要な資質だ。
 ただし、時と場合を選ばないといけない。『好奇心は猫を殺す』という諺もあることだし。
 でも、聞いてはいけないかなと思いつつも、気になって仕方ないのが、好奇心というものだ。
 というわけで、質問してしまったのだけど、ア、アンナさんが怒らなかったらいいな~(弱気)。
 アンナさんのビンタは何回も(それこそ数え切れないほど)喰らってるけど、その痛みに慣れることはない。いつもいつも、必ず新鮮に痛い。なんか、殴り方のコツとかあるのかもしれない(イヤだな)。
「必要だったからよ」
 視線の圧力はそのままで、でも、いつも通りのそっけない口調でアンナさんは返事してくれた。
 ほっ、よかった怒ってないぞ。
 でも、昨日アンナさんが買った林檎は(後で赤い目をしたシルバが届けてきた分も含めると)8個。かなり大きな林檎だったので、そのまま食べるだけじゃ食べ切れなくて、今、たまおがアップルパイを焼いてる。
 ほら、シナモンの甘い香りがここまで漂ってくる。
 さすがアンナさんが選んだ林檎だけあって、瑞々しくて甘くて、文句なしに美味しかったけど、ぼくも林檎はわりと好きだけど、いくらなんでも8個は多いよ。
「け、結構量があったけど、何に必要だったの?」
 いつ地雷を踏むかと怯えながらも、ぼくは質問を続ける。
 我ながら勇気があるなと思う。例え、ちらちらと、この部屋の出口(いざと言う時の避難経路)を確認せずにはいられなくても。
「オラクルベルの・・・・」
「えっオラクルベルがどうしたの!?」
 アンナさんの口からは意外な言葉。オラクルベルは、パッチ族の伝統工芸の粋を極めたもので、シャーマンファイト参加者に与えられる参加証だ。グレートスピリッツからの指令を直接伝えるというすごい道具なんだ。
 そのオラクルベルから、林檎を買うように指令が下ったんだろうか!?
 興味を引かれて、ぼくは一歩身を乗り出す。
「オラクルベルの今週の星占いで『おまじないに絶好のチャンス』ってあったから、林檎のおまじないをしたのよ」
「なんだそりゃ!!」
 ぼくはアンナさんのビンタへの恐怖も忘れて、ツッコミの本能でついツッコんでしまった。
 だってあんまりだろ!?
「あら、あれ結構当たるのよ」
 アンナさんは、布の向きを変えて返し縫いをしつつ、教えてくれた。
「だからってさ~」
 オラクルベルにいろいろとくだらない機能があるらしいという噂は聞いていたが、まさか本当のことだったとは!何考えてるんだパッチ族!
「そ、それで、アンナさんはどんなおまじないをしたの?」
 気を取り直して、ぼくは本題に戻った。さっき思わずツッコんじゃったけどアンナさん怒ってないみたいだし、この流れのまま聞いてしまおう。
「林檎のおまじないよ」
「だからどんな?」
 アンナさんがおまじないをするなんて、ちょっと意外な気もしたけど。アンナさんの出身は青森だ。青森といえば林檎(短絡的だけど)。林檎を使ったおまじないを知ってても、おかしくないかも。  
「林檎の皮を乾燥させて枕に入れると好きな相手の夢を見る、というおまじない」
「へえ。そんなのあるんだ」
 そのために自分で林檎の皮剥いてたのか、アンナさん。そして、今丁度作り終わったその布は、枕カバー?
アンナさんは、そうまでして葉くんの夢が見たいのかな?パッチの選手村に来てからずっと一緒にいるのにさ。
それはなんか、かなり、いじらしいかも・・・・
そうだね、アンナさんはいつもいつもきつくて恐いけど、本当は優しくてカワイくもあるもんね。夢の中でも逢いたいなんて、いじらしいよね。
あ~、なんだかぼく、(他人事なのに)ちょっと照れちゃうよ。
今頃地獄の特訓で血反吐を吐いてるはずの葉くん、アンナさんはこんなにもキミのコト想ってくれてるんだよ。
君って、幸せ者だね(血反吐吐いてても)。
「それで8個も林檎を買ったの?」
「・・・・・」
 すっかり微笑ましい気持ちになったぼくが問い掛けると、アンナさんは、できあがった枕カバーをソファの上に置いて、両手をぼくの肩にかけた。ぼくの顔を覗き込む。
 え、何?
 アンナさんの端正な顔がすぐ近くにあるというこの状況は、本来照れるべきなんだろうけど、ぼくは凍りつく。アンナさんの細くて白い指が、想像以上の力で、ぼくの肩をがしっと掴んでいる(アンナさん爪立ててるよ、いてて)。
 あ、あの、アンナさん、目が怖いんですけど・・・・・・・・・
「まん太、一人分なら8個もいらないのよ」
 その口調が静かなのが、一層ぼくの恐怖を盛り上げる。
 それって、つまり・・・・・・
「今夜、葉は誰の夢を見るのかしら?楽しみね」
「!?」
 そう言ってアンナさんは怖い目をしたまま、にっこり微笑んだ。
 この時になって、ようやく、自分がとっくの昔に地雷を踏んでいたことに気がついたぼくだった・・・・・・・・。
 つまり、この枕カバーは『アンナさんが葉くんの夢を見たい』からというよりも、『葉くんがアンナさんの夢を見る』かどうかを試すための物なわけですね(あわわわわ)。
 今頃血反吐を吐いてる葉くん、大変だよ!君の試練は地獄の特訓だけではすまないようだよ!
 青くなったぼくは、滝のように汗を流した。
「え、えっと、あのう、アンナ様」
「何かしら、たまお?」
 後ろからたまおが呼びかけたので、アンナさんはようやくぼくの肩から手を離してくれた(でも絶対爪あとがついてるな、これは)。
「ア、アップルパイが出来上がりました」 
「あらそう。じゃあ皆で食べましょう」
 そして、アンナさんはたまおの後について、部屋を出て行った・・・・・・・んだけど、出て行ったんだけど、扉が閉まる瞬間こっちを見た目は、『葉に話したら承知しないわよ!』と言ってた。絶対。確実。
ものすごく伝わったもん。
 ううう、今、ぼくの友情は試されている・・・・・・・・・・






 今朝、何にも知らなかった葉くんは、「オイラ、コロロの夢を見たんよ。可愛かったぞ、コロロ。でも、なんでだろな?」と言って、朝っぱらからアンナさんに殴り倒されていた。2メートルほど、ぶっとばされてた。
 ぼくはそれを、こっそり、柱の影から頭だけ出して見てた。
 ぼくの頬を、涙が伝った。
 ごめん葉くん、君に忠告してやることが出来なかった勇気のないぼくを許しておくれ。

 ああ、林檎って怖いなあ・・・・・・・・・              

                                    END
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