コンテントヘッダー

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サイダー

 NARUTOで、サスサクです。
 コップに砂糖(大さじ一杯くらい)とクエン酸(子さじ半分くらい)を入れ、湯を少し加えてよく溶かす。
 氷と水を入れてよくかき混ぜる。
 重曹を一つまみ入れて、すばやくかき混ぜると出来上がり。






 額に張り付く髪を掻きあげると指先がじっとり濡れていて、つくづく、まだ夏じゃないなんて嘘だと思う。
 今日のお日さまは、ハリキリ屋さんでがんばり屋さん。屋外で肉体労働系任務をこなす下忍としては、もうちょっと怠け者になって欲しかったところ。
 そう、今日の任務は、田んぼの雑草抜きのお手伝い。早朝に集合して(珍しく先生が遅刻しなかった)、お昼にご飯休憩を取っただけでずっとがんばってた。このところの燦々と照りつける太陽のお蔭で蔓延った雑草たちをせっせと抜いて抜いて・・・・やっと仕事が終わったけど、汗だくで足も腰も痛くて、もう立ち上がりたくない。
 靴を履くことすら面倒な私は、裸足のまま、田んぼのすぐ側の木陰で、憎たらしいほど青い空を見上げて座り込んでいる。
 時計が無いから時間がわからないけど、時刻はおそらく午後三時過ぎ。予定では夕方までかかることになっていたから、私たちはよくがんばったな、と思う。なにしろ夏前とは思えない暑さだったから、一刻も早く仕事を終えて日陰に逃げ込みたい、と三人ともすごくがんばった。
 三人というのは、木陰でダウンしてる私と、水を飲みに行ったナルトと、ナルトが泥を跳ね上げちゃったせいで泥まみれになった服を洗いに行ったサスケくん(と、農家の方と世間話してたカカシ先生)。
 私たちは下忍で、スリーマンセルのチーム。
実技の成績最優秀者である、サスケくん(おまけにカッコいいの!クールでつれないんだけど、そこがまた・・・!)と、筆記の成績最優秀者である私、サクラ(くの一です。サスケくんが好きです)と、実技・筆記共に成績不良の、ナルト(悪い子じゃないんだけど、落ち着きが無い)と、カカシ先生(遅刻常習犯。女子の勘として断言するけど、あの覆面の下は絶対カッコいいはず)とで、一つのチームになってる。このチームで依頼された任務をこなすわけ。
といっても、まだまだチームを組んで間が無くて経験が浅い私たちに回される仕事なんて、今回みたいなお手伝いレベルがほとんどだけど、いつかはすごい任務を果たせる忍者になるつもり。そのために、今日もがんばってる。
でも今はダメ。今は、ダウン。
 実は私も喉がカラカラでナルトと一緒に水を飲みに行きたかったけど、腰が限界で歩けなかった。でもやっぱり喉が渇く。帽子(借り物)を被ってたとはいえ、元気過ぎる太陽が遠慮なく降り注ぐ光線を浴びすぎて、さっきから日陰で休んでるのに身体の中に熱が溜まってて、まだ出ていってくれない。喉の奥がひりついて、水分(冷たいとなお良し)を求めている。我慢できないほど。
 もうちょっと休んでいたかったけど、どうやらそろそろ限界みたい。水分補給しなくちゃ、いても立ってもいられない。
 私はため息一つついて、立ち上がろうとした。その時。
「おーい!サクラちゃーん!」
「ナルト?何持ってるの?」
 田んぼの向こう側からあぜ道を駆けて来たのは、何かを手に提げたナルト。強烈な日差しにパサパサの金の髪を惜しげも無く晒して駆けてくるその手にあるのは、・・・・瓶?
「ここん家のおばちゃんが、よくがんばってくれたから、てサイダーくれたんだってばよ。ほら、サクラちゃんの分」
 ナルトが持ってたのはサイダーの瓶が二本(もう栓が抜いてある)。
 私が座り込んでる木陰に駆け込んできたナルトは、ずいっと片方の瓶を差し出した。瓶はまだ冷たいらしく、表面に透明な汗をかいている。
「あ、ありがと」
 受け取ると、ひやっとした冷気が掌に伝わった。




 もらったサイダーにありがたく感謝して、私はごくごくと飲んだ。
 といっても、炭酸飲料を一気にたくさん飲んだり出来ない。だから、まずは二口ほど。
 それでも、冷たい液体が喉を通る感触が心地好かったし、ひりつくほどに渇いていた喉はちょっと癒された。
 しゅわーっと広がる炭酸。舌に残る甘さ。ちょっとずつ、一口ずつ飲んでいくのがいいの、それがサイダー。暑い日には、やっぱり炭酸がおいしい。
「おいしーい!ね、ナルト・・・え、一気飲み!?」
 一息ついて隣に座ってるナルトに目をやると、ナルトがちょうど一瓶飲み終わるところだった。炭酸を一気飲みなんかして喉が痛くならないのかしら?
「ぷはーっ!やっぱりうまいな!」
 私はビックリしたけど、ナルトは平気みたいで、満足そうに飲み干した瓶をゴトリと地面に置いて・・・・・その頭を鷲掴みにされていた。
「ほう、良かったな。で、俺の分はどこだ、ウスラトンカチ?」
 ナルトの頭を鷲掴みにしていたのは、サスケくん。
 低い声を出して、まだ渇ききっていない服を着たサスケくんが、地面に座ってるナルトの後ろに立って、苛立ちも露わにナルトの頭部を鷲掴みにしていた。ギリギリという音が聞こえてきそうなほど力を込めて。
 元々鋭い目元はさらに鋭さを増して怖いくらいだった。薄い唇が微妙に笑みの形を取っているのが、彼の苛立ちの程を物語っている。
「げっサスケ!もう帰ってきたのかよ!」
 慌てたナルトは手足をバタバタと動かしたが、頭をギリギリ締め付けられていては逃げ出せない。無駄な抵抗だった。
「お前のせいで汚れた服を洗って帰ってきて、俺の分だけサイダーが無いってのはどーいうことだ、オイ!?」
 サスケくんは怒っていた。無理もない。
 サスケくんは普段、「暑い」とか「寒い」とか「疲れた」とかナルトみたいに声高に愚痴ったりはしないけど、鍛えてるから私なんかより体力あるだろうけど、でもやっぱり今日の任務は疲れたに違いない。『風の無い日にはしゃぎ過ぎてるお日さまの日差しを浴び続けながら田んぼで雑草取り』なんて、大人の忍者でも辛いはず。喉だって、渇いてるはず。なのに、私ったら自分だけ飲んじゃった!
 サスケくんに申し訳なくて、まだ二口しか飲んでない瓶を地面に置いた私は立ち上がった。そして、駆け出そうとした。
「サ、サスケくん。私が今からお願いしてサスケくんの分もらってくるから」
 けど、サスケくんが私を手で制する。立ち上がって見てみたら、整った顔立ちの眉間に皺が寄っていた。
「無駄だ、サクラ。このドベは三本もらって、一人で二本飲んでやがるんだ。俺が服洗う間に一本飲んでるのを見た」
「ナルト!あんたそんなことしたのっ!?」
 私はナルトに詰寄った。だって、ひどいじゃない。三本くれたってことはきっと、三人で一本ずつ飲みなさいっていうことなのに、なのにサスケくんの分まで飲んじゃうなんて!
 私が怒ると、バタバタ暴れて逃げようとしてたナルトは、急に抵抗を止めてしゅんと項垂れた。
「だって、オレってばサイダー好きだし、すっごく喉渇いてたんだってばよ・・・」
 ナルトが食べ物の誘惑に弱いことはよく知ってる(普段ろくな物食べてないから)。うなだれた様子はちょっと可哀想な気がしないでもなかったけど、でも、それでもやっぱり叱るべきだと思った。その方がナルトのためにもなるはず。
「それでもねえっ!」
「うん、それでもちょっとひどいな。今回は、ナルトが悪い」
 突然、冷静な声が割って入った。
 え?どこから?
 私が首を巡らせて声の発生源を探すと、長身の人影が上方から軽やかに飛び降りてきた。どうやら、いつの間にか木の枝に登ってこの騒ぎを全部見ていたみたい(わざわざ気配を消して)。
「カカシ、てめえ今まで何処行ってやがった?」
 サスケくんが先生を睨みつけた。
先生は「若人は足腰を鍛錬しなくっちゃ。先生はもう充分だけど」と言って、雑草抜きを手伝ってはくれなかった。まあ、この任務は私たち三人に課されたものだし、実際に予定より早く終了したんだけど、でもやっぱり、自分たちが汗水垂らして働いてる間おしゃべりばっかりしてた先生は、私でもちょっと憎たらしい。
「いやいや、農家の方から話を聞いて、今年の作物の出来などをチェックしてたんだよ、先生は。情報を集めるのも忍者の仕事だからね。というわけで、償いとして、ナルトはこのお金でサイダーを二本買ってくること。この金は、お前の給料から引いとくから」
「先生、酷いってばよ!大体なんで二本なんだよ!」
 先生が懐から出した小銭を握らせると、ナルトは抗議した。なにせ、ここは村外れで、棚田の頂上。サイダーを売ってるお店は、村の中心あたりにある。この体力で往復するのは辛い。
「オレの分も入れて、二本。スリーマンセルはメンバー間に信頼が不可欠だ。お前の行動は信頼を損なった。だから、誠意を見せなくちゃ。ナルト、一度失った信頼を取り戻すには二倍の苦労が必要なんだよ」
 先生が微笑みながらも威圧感を漂わせて『説得』すると、ナルトはしぶしぶ走り出した。自分が悪いことをしたというのは、わかっているらしい。
 先生が言った『信頼を取り戻すには誠意を見せる必要がある』というのは正しいけど、それは『先生の分までナルトがサイダーを買ってくる理由』にはならないわよね、と私は思ったけど、あえて何も言わなかった。
 先生は、また枝に登ってイチャイチャパラダイスを読み始めた。




 ナルトの買ってくるサイダーを待つ間、私とサスケくんは木陰で座っていた。サスケくんは、暑そうに眉を顰めている。私は意を決して話し掛けた。
「サスケくん、あの、飲む?」
「は?」
 こっちを見たサスケくんはちょっと驚いた顔をしてて、そういう顔すると怒ってる時よりずっとイイ感じ。怖くない。どことなく可愛らしい感じ。
 ちょっと嬉しくなりながら、私は飲みかけのサイダーの瓶をズイと差し出した。
「私の飲み差しで悪いんだけど、でも、喉渇いてるでしょ?ナルトが戻ってくるまでしばらくかかると思うし」
 普段のサスケくんなら、私の提案を突っぱねていただろう。サスケくんはちょっとつれないから。
 でも、今日は、夏前とは思えないほど暑くて、とても疲れていて、喉が渇いていたから、だから、サスケくんは自然に瓶を受け取ってくれた。
「いいのか?なら、もらう」
 そして、何の抵抗もなく飲んだ。服を洗うついでに水を浴びてきたみたいで、黒髪がしっとり濡れていて、サイダーを飲むために反らせた喉に小さな水滴を落としていた。
 私は、三角座りしてる膝の上に肘をついて、組んだ指の上に顎を乗せて、サイダーを飲むサスケくんを見てた。
 サスケくんはモテるけどつれなくて、どの女の子に対しても平等に冷たい。幸運にも同じ班になれた私は、これをチャンスに他の子より親しくなろうとがんばっているけど、空回りすることの方が多い。
 でも、今のやり取りは、ちょっとは親密度が上がったということの証明のような気がする。他所の班の女の子が突然飲みかけのサイダーを差し出しても、サスケくんはきっと受け取らない。どんなに喉が渇いてても、いらないと言うだろう。
 けど、一緒の班になって、今日も一緒に汗を流してがんばった私が差し出したサイダーならもらってくれる。
 『拒絶されなかった』というたったそれだけのことが、目指す『特別な存在になる』への着実な一歩のように思えて、私にはとても嬉しかった。
「サクラ」
「あ、もういいの?」
 ぼんやりサスケくんに見惚れてたらサイダーの瓶を差し出されて、ちょっと慌てながら受け取る。瓶にはまだ半分近くサイダーが残ってたけど、もういいらしい。私の分を残しておいてくれたんだと思う。
「ああ」
 袖で額の汗を拭いながらサスケくんが返した言葉に、ツッコミが入った。
「『ああ』じゃないでしょ、『ありがとう』だよ、サスケ」
 上から聞こえた声に顔を上げると、愛読書を閉じた先生がこっちを見てた。
「えっ、先生私別に・・・・」
 私が言い終わらないうちに、先生が言った。
「スリーマンセルは信頼が鍵。円滑な人間関係はまず挨拶から。喉渇いてる時に飲み物分けてもらったら、言う台詞は『ありがとう』。言えないんなら、お前も、今サイダー買いに行ってるナルトと同じだよ」
 先生の言葉は、サスケくんにとって痛いところを突いたみたいで、サスケくんは一瞬悔しそうな顔をして、それからこっちを向いた。
「・・・・・・・・・・サクラ、ありがとう」
 抑揚なんか全然無い声。微妙に逸らされて地面に向かってる視線。でもそれはサスケくんの照れ隠しのポーズだってことがわかったから、私は緩んだ頬に気づかれないように両手で頬っぺたを抑えて返事した。
「どういたしまして!」
 



「サクラ」
「え?何?」
 あれからしばらくして、ぶつぶつ文句を言いながらサイダーを二本持ったナルトは帰ってきた。一本は先生が、もう一本はサスケくんが受け取って、サスケくんは半分飲んだところだった。
ちなみに先生は、やっと先生の分のサイダーを奢る理由などないことに気がついたナルト(鈍い)に怒鳴られている(でも先生は気にしてない)。
「さっき半分もらったから。お前も俺の半分飲め」
 そう言ってサスケくんがズイと瓶を差し出してきたので、私はビックリした。あの後私も残りのサイダーを飲んだし、ずっと木陰で休んでたから喉の渇きは治っている。
「い、いいよ。私そこまで喉渇いてないしさ」
 慌てて首を振った。
「いいから、飲め。それでチャラだ」
「う、うん」
 でも意外に義理堅いところがあるらしいサスケくん(貸しを作りたくないだけかな?私は気にしないのに)は、更に詰め寄って瓶を手に押し付けるから、私は受け取ってしまった。私が飲むことでサスケくんが納得できるならそれでいいかなーと思ったの。
「ごちそうさま」
「ああ」
 私が飲み干して空になった瓶を返すと、サスケくんが満足そうに頷いた。
 なんか『仲間』っぽいやり取りだなーと思って、私は嬉しくなる。
 私が最終的に目指すは、もちろん『彼女』の座なんだけど、ガードの固いサスケくんが相手なんだから、こうやって一歩一歩近づいていくのもいいと思う。サスケくんに警戒する隙を与えないくらい、ちょっとずつ。でも確実に。
 そうやって近づいていって、いつの間にか鉄壁のガードを掻い潜り、サスケくんの内側に入り込めていたらいい。誰のことも欲しがらない、誰のことも求めないサスケくんが、側にいて欲しいと望む唯一の相手になれたらいい。
・・・・・道は、長いけど。
サスケくんを無理矢理追い掛け回してウザがられてた頃よりかはちょっとだけ大人になった私は、この先に待つ水面下の攻防戦に思いを馳せながら、立ち上がって伸びをした。ずっと休んでたお蔭で、疲れはだいぶ取れている。これなら、今夜お風呂でちゃんとマッサージしたら、明日の任務に支障を来たしたりしないだろう。
そんなこと考えてた私の隣に、不意に先生が近づいた(ナルトを撒いたらしい)。長身を屈めて、私の耳元で小声で囁く。
「サクラ、さっきのって間接ちゅー?」
 ?
 先生の目線の先は、サスケくん。話し掛けた相手は、私。私の飲みかけのサイダーをサスケくんが飲んで、サスケくんの飲みかけのサイダーを私が飲んで、ということはこれって・・・・・!
「えっ!?あっ!!きゃーっ!!!ヤっ、先生のバカっっ!セクハラエロ上司っ!」
 瞬時に耳まで赤くなった私は動揺しちゃって、先生をバシバシ叩いて、そのまま一直線にあぜ道を駆けて家まで帰ってしまった。
 後で聞いた話では、この後、セクハラ疑惑を掛けられた先生が、サスケくんとナルトにしつこく追求されて困ったという。
 ちょっと悪かったかなーとは思うけど、でも、だって、ビックリしたんだもの。自業自得。
 もうっ間接キスなんて、そんな・・・・・先生、指摘してくれてありがとう!



 そんなわけで、私は、サイダーが大好きになりました♪




【おわり】
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