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「必ずその手を掴むから」

 ネウロで、ネウ弥子。
 知ってた。
 何の事件の時だったか忘れたけど、井戸の壁に埋め込まれた証拠を採取するために身を乗り出せとネウロが要請したことがあって、私はもちろん嫌がったんだけど例によって例の如く押し切られた時、「安心しろ。貴様が落ちかけても、必ずその手を掴むから」なんてあの魔人は言った。私は、その言葉が嘘だと知っていた。案の定、井戸に乗り出してバランスを崩して井戸に落ちてずぶ濡れになって底から見上げると、ネウロはにっこり笑っていた。
 何の事件の時かこれもまた忘れたけど、その奥に謎があるとか言われて、絶対にこれ腐ってるでしょ?私たちの体重支えきれないでしょ?踏んだ瞬間に床抜けるんでしょ?と思わせられるボロボロの床の前に立った時も、「床が抜ければ必ずその手を掴んで引っ張りあげてやろう、案ずることなく我が輩に続け」なんてあの魔人は言った。私は、その言葉が嘘だとやはり知っていた(でも逆らえなかった)。で、奇跡的に床を踏み抜かずに目的地に渡れそうだったのに、最後の一歩で魔人が足を引っ掛けてきて、転んだ私は床を踏み抜いて腰まで床に埋まった。ネウロはにやにや笑ってた。
 だから私は知っている。魔人ネウロは平気で嘘を吐く。
 そう、それはそれはヒドイ嘘を。
 ネウロはひどい嘘を吐いた!何コレ!?ねえ、私を盾にするんじゃなかったの!?なのにどうして、1人しか脱出できないタイミングの中で助かったのが私なの!?なんで、自分よりも私を逃がしたの!?
 首を掴んで見せ付けられた光景を、私は上手に処理できない。電子ドラッグによって枷が外れ、尋常でない力と動きで攻撃を繰り返す人々。その人々に囲まれ、辛くも反撃しているものの、満身創痍のネウロ。
 私を庇うことを優先したせいで、逃げ出せなかったネウロ。
 この、大嘘つきっ!!
 何もかもが間違ってる!誰も彼もが嘘ばかり!「盾にする」も「犯罪者ばかりの世界を望む」も全部嘘っ!覚悟しなさいよ、私はそんな嘘赦さないんだから!「いらない」なんて嘘は無視して、必ずその手を掴んで引っ張り上げてやるんだからね!





 鼓膜を引っ掻く大音響にも掻き消されず、胸に突き刺さるのは少年の叫び。痛々しい過去と現在進行形の惨劇、薄い肩には重過ぎるそれらを背負って、それでも少女はくず折れることも逃げ出すことも出来ない。絶体絶命のこの状況を転換できる鍵は眼前の少年だけで、彼を解ける可能性があるのは、崖下の魔人ではなく、崖上の少女だけ。だから、少女は一歩を踏み出す。前に。
 震えながら、それでも少女は言葉を紡ぐ。
「私は・・・・!」




 信じなくてもいいよ、何度でも思い知らせてあげる。私は、嘘つきなあんたと違って、「必ずその手を掴む」んだからね!




【おしまい】
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