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放課後の魔術師

 シャーマンキングで、葉アンナ。
モノクロームの景色の中、たった一人だけがフルカラーに切り取られているので、あたしは見間違えることすらできない。
 


 モノクロームの景色の中、たった一人だけがフルカラーに切り取られているので、あたしは見間違えることすらできない。
 







 
 今度の席替えでは、どんな手段を使ってもあんたより前の席に座らなくちゃいけないわ。
 これまでずっと、あたしはあんたより前の席で、内心それが不満だったのに。
 だから、今回の席替えであんたの斜め後ろの席になった時は、愚かにも喜んでしまった。授業中も、なんの憚りも無くあんたを見ていられることが嬉しかったの。
 単純なあたし。
 でも、もう、喜んでいるだけではいられないわ。
 何故って?
 そんなの決まってる。みんな、あんたが悪いのよ。
 酷い男。
 あたしはただ、あんたの背中を眺めてるだけで幸せだったのに、そんな純情なあたしにどんな魔法をかけたの?
 今じゃあたし、眺めてるだけなんて耐えられないのよ。
 その、寝癖がついたままの髪に。
 頬杖をついてる意外と器用な指に。
 微妙に皺が寄っている白いシャツに。
 丸まって眠る背中に。 
 熊の爪が揺れる胸に。
 ・・・・・・・・・触れてみたくってしょうがないのよ。

 その黒髪に指を差し入れ、ヘッドホンなんか外して、ぐちゃぐちゃにかき混ぜてやりたい。
 その指を口に含み、歯を立ててやりたい。
 そのシャツなんか、くしゃくしゃに丸めて足元に放っておくわ。
 その背中に爪を立ててやらなくちゃならないもの。
 だから、熊の爪は外してちょうだい。あたしの胸に当たって痛いでしょうから。


 こんなこと考えるあたしはどうかしてるわ。
 でも、視線を外すことすら出来ないの。
 授業中の教室なんて、ひどくつまらない空間。あたしの目には、色を持たない濃淡にしか見えない。
 なのに、その中であんただけが色鮮やかで、あたしの視線を攫ってゆく。
 寝てるあんた(居眠りしてるんじゃないわよ)。あくびしてるあんた(そんなマヌケな顔を世間様に晒してんじゃないわよ)。ぼうっとしてるあんた(も少しシャキっとしなさいよ)。
 そして、ほんの時折こちらを振り向いて微笑む、あんた。
 その漆黒の瞳。柔らかい目元の感じ。眉の曲線。穏やかな口元。ユルんでる頬。頬にかかる髪。首と肩の動線。
 なによりも、あたしを見つめる眼差しの深さと優しさ。

 ・・・・・・ああ、攫われる。




 あんたに出会ったあの冬から、あたしの心はあたしの持ちモノではなくなってしまった。
 あんたがかけた魔法がいまだ解けず、これからもあたしはあんたの虜。
 この心砕け散って欠片となったとしても、最後の一欠けまで、あんたのモノ。
 ならば、この心の宿るこの身体も、あんたのモノなのでしょう。あんたに捧げるためのモノ。
 ほかに何も持ってないあたしが差し出せるのは、与えられるのは、この心と身体だけなのだから。

 だから、放課後になったら、あたしのこの腕はあんたに投げかけられる。
 腕の中のあたしをどう扱うかは、あんた次第。
 言っとくけど、返品はもうとっくに不可だから。
諦めてあたしを大切になさい。




 あたしをこんなにするなんて、あんたって油断も隙もないわね。
 なんて優秀な魔法使いかしら。

 ホント、その魔法は効き過ぎだわ。
 もうちょっと、あたしのことを考慮してちょうだい。
 授業中にこんなふうになってちゃ、あたしの身が持たないじゃない。
 伸ばしてしまいそうになる手を抑えるのは、大変なのよ。



 ・・・・・・・・・・・でも、この魔法は他の誰にも使わないでね?

 放課後にまたあたしに魔法をかけ直す、あんたって懲りない魔術師。

《終》
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