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 「これは、自分で決めたことだから」

 PAPUWA。高松。
何してるんですかあんた(サービスの元へやって来たということの意味ちゃんとわかってます?)?と珍しくも思わず素になって問いかけた高松に対するジャンの返答がコレだったので、高松はうっかり素になったことを恥じた。不快げに眉を顰める。
ガンマ団が誇る頭脳であり団を取り仕切る一族と密接な関係にある高松の研究室の予算は潤沢で、部屋は煌々と明るい。その明るさと楽園の島で暮らす予定で作成された肉体の視力とで見間違えなど起こるはずもないのに、ジャンは、高松の不快さに気づく様子もなく、少し寂しげながらも誇らしげな顔をしていた。
親と別離して夢に生きる少年のような、そんな『未来ある、未来を信じている』顔を。
そもそもが人外である生物だからこんなに鈍感なんですかね?それとも演技?それとも『生き続けるために不都合なモノには気づかない』ようにプログラムされてる?と内心で呟きながら、高松は白衣のポケットから新しい煙草の箱を取り出した。
高松はひどく賢い人間だ。一服し終わる頃にはこの生物の欺瞞にも慣れ、忘れたふりをして新しい話題を口に出せることだろう。






 近頃、サービスの体調はあからさまに悪い。死が近いのだと、高松は確信している。本人もその事実を理解し、その上で死を受け入れているらしい。そうやって悟りを得たおかげか、人間の基準というものを根本から無視している様子があるアノ美貌はますます儚なげで冴え渡っている。サービスは常に、はた迷惑なほど美しい。
そして、ジャンの欺瞞は崩壊しつつあった。彼は創られて初めて経験する『愛する者に置き去りにされるだろうという予感』に怯えて追い詰められている。
気が遠くなるほど生きてきてこの先も生き続けなければならない人外は、定命の人間を愛するのに覚悟が必要だという事実を、やはり理解していなかったのだ。
どれもが順当な結果だった。高松は、予測の範囲内過ぎて、この先に用意されているだろう愁嘆場を想像するだけでぐったりと疲れが増してしまう。余命を申告せざるを得ないだろうほどに末期のサービスの検査結果を睨みながら、うんざりとため息を吐き、白衣のポケットに手を突っ込んだ。
煙草を吸わなくては。吐き出した吐息の分、煙が必要だった。






「これは、自分で決めたことだから」
 そんな言葉は欺瞞で、覚悟は嘘で。
 嘘には罰が与えられる。


【おしまい】

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