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「無意味で無価値でくだらない」

 NARUTO。サスサク。
 人間は群れて生きるように出来ているが、同時に個として独立してもいる。だから、1つの住居に共に居住し、ましてや同居者とのコミュニケーションを放棄するつもりがないなら、妥協が必要となってくる。
 妥協は怠惰でも卑怯でもない、むしろ勇気だ。己を変革するには、勇気が必要なのだから。
 ・・・・・・そう理解していつつも上手くできないのが人情だ。
 というわけで、現在、うちは家にはブリザードが吹き荒れていた。新聞を読むサスケと絹さやの筋取りをしているサクラとは同じリビングにいるのだが、二人の間に会話は無い。乾いて冷えた空気が充満している。
 無言の重圧をひしひしと感じながらも、サスケは折れるまいと我を張っていた。いつものように茶を要求すると無言で水道の蛇口を指差されたりしてみたが、平気な顔を装って水道水を飲んだ(内心は動揺したが)。彼は若年にも関わらず、一家の主としての自負が強い。それは、前夜は徹夜だったにも関わらず文句一つ言わずに台風後の屋根の修理する、などプラスに働く場合もあったが、今回はどう見てもマイナスに働いていた。
 事の起こりは、七夕だ。
 ナルトが七夕用の笹を取ってきてくれるって!飾り付けて短冊書こうね浴衣着ようかな夕飯は素麺にして星型の人参を散らすね!、とサクラが嬉しそうに言ったのが、そもそもの始まりだ。
 長年独りで暮らしてきたサスケは、年中行事と縁遠い。七班に配属されてからは誰かに巻き込まれて、という形で年中行事に触れることもあったが、自宅で主導的に行う習慣はなかった。だから、咄嗟に面倒くさいと感じてしまって、そんなにがんばらなくてもいいだろ、と投げやりな口調になってしまった。
 サクラは人の気持ちに敏い。だから、サスケが面倒くさがっていることも察してしまった。しかし、サクラにはサクラなりの考えがあった。サスケが年中行事に縁遠かったことは知っている(長いつきあいなのだから)。けれど、それは独りだった時のこと。結婚したからには、彼が知らなかった家庭の味を味わってもらいたい、それがサクラの願いだった。能力的にはひどく優秀なサスケは、その代償のように人間的な部分に多くの欠落がある。その欠落を埋めたい、それこそがサスケを愛し始めた時からのサクラの願いだ。その願いを叶えるための努力を怠ったつもりはない。
 よって、サスケの投げやりさはサクラの癇に障った。




 
 サスケは謝罪するのが苦手だ。バカバカしい話だと己でも理解しているが、謝ると負けたような気分になるからだ。サスケは幼い時期に親を亡くし兄を憎み、以来サクラの想いを受け入れるまで苛烈に生きてきた。だから、負けることが恐ろしい。恐ろしいから謝るのが苦手。
 だがしかし、苛烈な季節はもう終った(はずだ)。サスケがサクラを望んだのは、彼女の衲に『善きモノ』を見たからだ。『形の無い眼に見えない(サスケの写輪眼を用いてさえ)触れることも出来ない、けれど確実に存在していて、柔らかく温かく優しく貴く美しいモノ』を彼女に見出して、ソレが欲しくてたまらなくなったのだ。己が真実欲しているモノは、血塗られた破滅的な目的などではなく、サクラが持つその『善きモノ』であったと気がついたのだ。
 だから、愛を乞うた。
 ならば、ここはサスケが折れるべきであろう。七夕の飾りつけなど心底めんどうくさいが、『善きモノ』はこのめんどうくささを含んでこそ成り立っているのだから。
 頭の中を整理したサスケは、新聞をラックに突っ込み水道水を飲み干して立ち上がる。そして、絹さやの筋を取るサクラの傍らに座って一緒に筋取りを始めながら、一言。
「 「無意味で無価値でくだらない」なんて、嘘だ」





謝罪が苦手な夫の精一杯の謝罪を察した(再度言うが彼女は敏い)妻は寛大に夫を赦し、その夜、人参は星型に切り抜かれ笹は盛大に飾り立てられ短冊には微笑ましい願い事がたんと記され、浴衣の帯はすぐに解かれた。


【おしまい】
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