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「その痛みだけが真実だよ」

 ネウロ。ネウ弥子。
夏の陽は夜の手前でぐずぐずと空に居座り熱を放射し続ける(厚かましく。遠慮の欠片も無く)。だがしかし、一端陽が堕ちれば、足早に訪れた夜が全天を支配するのはあっという間だ(ほんのさっきまでまだ明るかったのに)。
 女の時間はそのように過ぎた。少なくとも、ソレにはそう感じられた。
 ソレは随分賢い生物だし知識も豊富だ。地上に這い出た当初こそ些か世間知らずだったが(仕方のないことだ。違う世界から来たのだから)、それから随分時が経った今では、飽くこと無き情報収集の成果として百科事典以上のデータベースを内部に確立していた。
 だから、知らなかったなんてことはあり得ない。そんな言い訳は通用しない。
 ならば、ソレは『忘れていたかった』、もしくは『直視できなかった』のだろう。どれだけ見ないふりをしても、時間の残酷さには敵わないというのに。
 結局、大病や取り返しのつかない大怪我をするといったことはなかった。ソレが守ったので。風邪などは年中行事だったし中程度の怪我(ソレの暴力が原因)はいくらでもあったが、女はそもそもかなり頑丈な性質だったらしく、概ね健やかに過ごした(ソレに甚振られない限りは)。
 時に泣き、時に笑い、常時食い、実は尋常ではないほどに度量の広い(胃袋と同じぐらいのサイズ)女は、異常ばかりに取り囲まれた日常を、至って平然と受け入れた。そこそこ幸せそうですらあった。
 けれど、女の時間にも終わりが来る(世界の理は容赦など知らない)。
 朝が来る前に時間が尽きた女は、昨夜ソレに向かってこう言った。
「昔、あんたは『真実』とは何かって訊いたね?私は上手く答えられなかった。あんたと私は違い過ぎるし、私もまだ弱かったから。だからこれまで上手に伝える自信がなくて放棄してた返答だけど、今答えるよ。明日、太陽が昇る頃にあんたに訪れる痛み。その痛みだけが真実だよ」





 そして、朝の光を浴びながら、ソレは真実を知る。
 朝陽に照らされた亡骸は皓く、痛みはどこまでも鮮烈だった。


【おしまい】
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