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「僕は最初から何も持っていない」

 ネウロ。ネウ弥子+笹塚。
「僕は最初から何も持っていないんですよ」
勘のイイ刑事が、この、あまりにツッコミどころ多過ぎな化け物(今でもマジでどっからツッコむべきかわかんねえ)の前歴について問うて来た時の化け物の答えが、コレだ。
にっこり微笑んでいるだろう麗容と穏やかな口調は、その内実を一端なりとも知っている身からすると、いっそうすら寒い。ぞっとしたぞコラ。あーあ、鳥肌立ってんじゃねえか。
化け物は(悔しいことに)人間離れした力だけではなく、賢しさも持ち合わせていた。実際、実質的に事件を解いているのは探偵じゃなくてコイツだ(探偵の取り柄はまた別にある)。それなのに事件の関係者は何故かコイツのことをあまり意識しないのだが(派手な見かけにも関わらずな。絶対なんか妖しい力使ってるよな)、一過性のつき合いしかしない相手とは違い、事件の度に顔を合わせる羽目になる警察関係者はさすがにごまかしきれなかったらしい。
 だから、刑事の疑問は当然だ。なのに、化け物の答え方は不可解だった。
 変な話だ。(悔しいが)化け物は頭が良いんだ(根本的なところで阿呆な予感もするが)。要領もいい。適当な前歴を用意するぐらい朝飯前(そういや、コイツが飯食ってるとこ見たことねえな。いつも相棒の女の凄まじい食い気のが気になって意識したことなかったが)のはずなのに。
 『刑事』という存在に過剰反応して(身に染み付いた習性なんだよ)勘のイイ刑事が事務所に現れた瞬間から給湯室の壁にへばりついてしまっている体勢(情けねえのはわかってるが、習性を変えるのは難しい)で、さらに耳を澄ます。
 何となく、化け物の言葉の続きに興味があって。
「ココに来た時、僕は何も持っていませんでした。僕自身以外何も。でも、ココを去る時が来たら、僕は先生を手に入れますよ。『約束』ですから」
 声は穏やかで、うっかりすると真摯にすら聞こえた。もしくは、誇らしげに。
 限りなく睦言に似た響きが恐ろしくて、氷を押し付けられたみたいに震えが止まらなくなるのも無理ないってもんだろ。柱の影に隠れながら盗み見ると、刑事だって絶句してた(気持ちはわかる)。
 なあ、何かが決定的に間違ってねえか(理屈じゃない部分で激しくそう感じるんだが)?







「約束ね。私が先に死んだら私を食べてね。栄養にならなかろうが美味しくなかろうが、全部残さず食べて。ここまで傍若無人に振り回してくれたんだから、それぐらいはしてちょうだい。その代わり、あんたが先に死んだら私が食べてあげるから。美味しくなかろうが毒だろうが、必ず食べてあげるから」
 我輩が頷くと、人間の女は満足気に微笑んだ。
 『約束』は、仄かに甘い味がする。



【おしまい】
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