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「お前が迷う時、俺を呼べ」

 冒険王ビィト。
「お前が迷う時、俺を呼べ」
二人で旅をしていた頃、君はぼくにそんな台詞を言ったことがある。覚えてるかな?




「お客様、どれになさいますか?」
 差し出されたソレらを見やって、ぼくは情けない笑みを浮かべた。
 この街を襲った魔人を倒した戦士団として、ぼくらは歓迎されていた(いいのかな?いや、ビィトたちは英雄だけど。ぼくは犯罪者なのにね)。襲撃されて門まで壊された街の損害は大きかったから手厚くもてなされたというわけではないけれど、修繕費などで苦しいだろうに、食堂に入ると必ずおまけがついたし、物を買う時も割引してくれた。今ポアラが手にしているマントも、割引になる予定だ(お店の人がそう言ってくれた)。
 だから、金銭的な問題で悩んでいるわけじゃない。いや、ぼく個人はお金を持ってなくてミルファに借りてる身であるから無駄な出費は避けなければいけないところだけれど、新しいマントを購入することはしっかり者で戦士団の会計担当(いつの間にかそうなっていた。適任だと思う)のポアラが提案してくれたことだったので、遠慮することはないとミルファにも言われたし。だからたぶん、新しいマントを選んでもいいんだろう。今のマントは可能な限り修繕してはいたけど、度重なる激しい戦闘でかなりボロボロだった。ぼくはただでさえ貧相なんだから(きっと戦士団で一番筋肉無いよね。女の子にも勝てないっぽいよね。直視したくない現実だけど)、ボロボロのマントだとあまりにもみすぼらしいに違いない。ビィトは見た目に拘らない人だけど、それはビィトたちの中身がしっかりしているからであって、中身がしっかりしていないぼくはせめて外観だけでもマシにしておくべきだと思う。里に入った時に無駄に警戒されたりしないためにさ(ただでさえ、バスターというだけで偏見の眼で見られやすいのだし)。やっぱり人間、見た目で判断されてしまうところが大きいのだから。
 それはわかってる。だから、ぼくは新しいマントを購入してもいいんだろうと納得はしたんだけど・・・・・・・選ぶのが難しい。
 実はぼくは、服装に対してあまり興味とかセンスとかが無い。男のくせに細くて白過ぎる(元々日焼けしない肌質の上に2年日光を浴びなかった)身体を極力隠したいし、野宿の多い旅であるということもあって、極力肌を見せない格好をする、というポイントだけは絶対に外せないし、所謂男臭い服は自分に似合わない(哀しいことながら)というのもわかっている。けれど、それ以外のことにはほとんど関心が無いんだよね。
 そんなぼくなので、防御力も防寒力も同じくらいなマントをいくつも差し出されると、選ぶのは至難の技。助けを求めて一緒に買い物に来たポアラを探したけど、姿が見当たらなかった。そういえばさっき、店の奥でブーツを見てくるって言ってたな。ああ、どうしよう困った。
「こちらの深いブルーですと、お客様の繊細な顔立ちが映えると思いますわ。上品なこのラベンダー色もお似合いだと思いますし、こちらのシルバーは一見すると無地ですけど実は地模様が・・・・・」
 営業スマイルでぐいぐいと迫ってくる店員さんは、何故か迫力がある。ぼくは後ずさったが、3歩後ずさったら壁ですぐに追い詰められた。だ、誰か助けて。
 助けを求めてキョロキョロと辺りを見回すと、それに応えるようなタイミングで店の扉が開いて、ビィトが現れた。
「ビィト!」




 意外にも、使えさえすれば物の外観にこだわりがないように見えるビィトは、一発でぼくの悩みを解決してくれた。
「これ!」
 話を聞いた彼が指差したのは、襟元にバスター協会のマークが入っているだけのシンプルなデザインの空色のマント。羽織ってみるととてもしっくりきたので、それを購入した。袋に包もうとする店員さんを断って、その場で装着する(そのつもりで前のマントは外してきた)。
「やっぱキッスはその色が似合うな!」
 ビィトがあんまり明るい笑顔で嬉しそうにこっちを見るので、恥ずかしくなったぼくは少し俯いた。耳と頬が熱い。
 君が選んでくれたマントは、晴れた日の空の色。


【おしまい】

 

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