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あの日あの時あの場所でいわゆる奇跡などと呼ばれている事象が起こっていたのならば

 鋼の錬金術師。エドワード・エルリック。
「エド、朝よ。起きなさい!」
 揺さぶり起こす声に「うるせえなウィンリィ」と答えようとして、目に映る髪の色が栗色だったから、慌てて言い直す。
「・・・はよ、母さん」
 ちょっとしかめっ面で(間違えそうになったのが恥ずかしいんだよ)そう言うと、母さんは全てお見通しの顔で朗らかに笑った。
「ウィンリィちゃんじゃなくてごめんなさいね。今朝はベーグルだからね。今あっためてるから早く来なさいね」
 女という生き物はどうしてこのように勘が良いのか。朝っぱらからやり込められたオレは、しばし枕に顔を埋めていたが、結局はベーグルの匂いで起き出す(これもまた母さんの思惑通りなんだろう)。扉を開けるとベーグルに齧りついてるアルの姿があった。
「ひぃはん、ほはよ」
 あーあーもう、お前口に物入れたまましゃべんじゃないって。クラスの女子が密かに騒いでる男前っぷり(でも中身天然だけどな。その天然具合は俺とウィンリィぐらいしか把握してないけどな)が台無しだぞ?
 なんて思いながら、オレも食欲に抗し切れずに挨拶より先にベーグルに喰らいつく。
「ほう、ほはよはふ」
 行儀が悪い!と母さんがオレたちの後ろ頭をぺちんと叩いた。











 夢の終わりと同時にがばっと身を起こした。肌を伝う寝汗が気持ち悪かった。
「・・・エド?」
 起こしに来てくれたウィンリィが金髪を揺らして小首を傾げている。バカヤロ、そんな心配そうな顔すんな。
 在り得なかった夢を見たオレは、その余韻に耐え痛みを堪えながらも、口の端を何とか持ち上げて笑顔の真似事をした。
「はよ、ウィンリィ。今日の朝飯ベーグル?」



 知ってる。扉の向こうで待つアルは鎧だ。ベーグルを食ったりしていない。それでも、前に進むと決めたオレは歩き出さなくちゃならない。







【おしまい】
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