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許されるならもう一度とそんな都合の良い夢のようなことを思って

 冒険王ビィト。キッス。
 窓辺から差し込む光は瞼の奥の眼球にまで届いて朝だと訴える。朝だ、起きろ、と。それはまったくもってもっともな意見だが、生憎ぼくは眠い。もうちょっと寝かせてよ。
 誰に対するでもなく呟くと、「しゃーねえなあ」と言って髪をかき混ぜる指の感触。身体の割には大きいけれど、まだ子供の手。けれど戦う手だから指先は硬い。硬い指先が、とても優しくぼくの髪を撫でる。気持ちいいなあ。ねえ、もっと撫でて。
 もう、眠くてうとうとというよりはうっとりという感じですっかり弛緩して指に身を任せていたのだけれど、その指の持ち主は「じゃ、先に朝飯食ってくるぞ。お前、後から来いよ」なんてつれないことを言って去っていこうとするものだから。ぼくはがばっと身を起こした。
「待って!」





 

 けれどその開いた瞼の向こうに広がっていた世界は、窓から光が零れる部屋ではなく、闇に沈み込む部屋だった。黒の地平の闇の底の、窓のない部屋。もちろん、彼の姿はなくて。
 都合の良い虫の良過ぎる夢は、もう終わり。
 左腕の鎖は、今日もチャラチャラと耳障りな音を立てている。




【おしまい】



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