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にゃんぷらす(前篇)

 ぬらりひょんの孫 リクつらハロウィン話。

 記念日の残念なリクオ様シリーズで、タイトルからわかるようにまたしても猫耳ネタです。そして、前篇。

※11/10 ちょっと手直し。
「いいのかなぁ? メールに返事来なかったんでしょ?」
「倉田君は充電忘れることが多いって前に聞いたけど、奴良とか及川さんとか、そこらへんちゃんとしてそうだしね」
「いやいやいやいや、人間でも妖怪でも誰しも、うっかり忘れることはあるよ! 病気ならこのお菓子をお見舞いにすればいいんだから、行くだけ行ってみようじゃないか!」

 近年、10月になると、街にはオレンジと紫や黒で飾られ、吸血鬼や魔女や黒猫やシーツお化けが溢れ、至る所でお化けカボチャが笑っている。
 カボチャの笑顔は不気味だが滑稽さがあることだし、そもそもが一神教が型に嵌めた所から土着の習俗が漏れ出した結果として生じた祭りであるので、そのあたりの感覚がやけに馴染んだ為に、奴良家ではもう10年以上、洋風百鬼夜行としてこの祭りを楽しんできた。
 祭り当日である10月の末日には、和風お化け屋敷な奴良屋敷に無理やりハロウィン要素を突っ込むので、屋敷は、和洋折衷なお化け屋敷と化す。
 昨年はリクオの正体を知らなかった故に、洋風の清継の屋敷でハロウィンパーティーを催したが、今年は、リクオの正体も奴良家の実情も理解していたので、清継は、ハロウィンの日に奴良家で催される宴に参加したい旨を事前にリクオに告げていた。
 東西の別はあれども『本物のお化け』と共に過ごすハロウィンなど、怪奇マニアとしてはトキめかずにはいられないに決まっているのだ。
 幸い、清十字団は奴良家の住人に好かれている。陽気な奴良家の妖怪たちは、客を歓迎こそすれ嫌がりはしないだろう。そう考えたリクオは、快く頷いた。
 だから、ここ2週間ほど、清十字団員たちは、奴良家でのハロウィンパーティーでどんな仮装をするか、という話題で盛り上がっていたのだ。
 だが、そのリクオが、ハロウィン当日、学校を無断欠席。
 欠席理由は、体調不良か? はたまた、組の事情か?
 リクオは、中学生男子であると同時に奴良組総大将である為、病気以外の理由で欠席しているのだとしたら訪問は迷惑になりはしないかと巻と鳥居は案じているのだが、自分とどうこうというのは諦めていても憧れの相手の普段と違う姿を見られるかもしれないと思うとカナと島は諦め難く、それ以上に、10月に入ってからずっとこのハロウィンパーティーを夢に見るほど楽しみにしていた清継は、家まで行かねば気が済まないようだった。
 病気ならば見舞いだけして帰るし、組の事情があるのならば玄関の前で諦めるから、と言って、とりあえず奴良家に行くと言って譲らない。
 他の団員も、清継程熱狂的ではないにしても各自衣装を揃えたりして楽しみにしていたので清継を止める声にも力が入らず、また、実際にリクオが組の事情で欠席して連絡も取れない状態になっているのならば、友達としてどれぐらいの期間休むのかを知っておきたい、という気持ちもあるので、清継に押し切られる形で家の前まで来てしまった。
「……普通っぽい、よね?」
「物々しくはない、ような気がするけど」
 江戸時代から街中に居を構える奴良家は、ある種の結界に包まれている。陰陽師などが用いる目的の為に理論で構成された結界ではなく、総大将であるぬらりひょん一族の特性が漏れ出たような代物なのだが、無関係なご近所さんが奴良屋敷への関心を持たないようにさせる効果はあった。
 だから、一歩敷地内に入らないと、中の様子を窺うことは難しい。
 奴良家の門前にたどり着いた清十字団は、しばし、誰かが買い物に出てきたり物音が聞こえたりしないかと、珍しく閉ざされたままの門の前で待ってみたが、運悪く誰も門から出てこなかった。清継が、リクオ・つらら・青田坊に電話をしても、呼び出し音が続くばかり。空を見上げても、鴉の一羽も見当たらない。
 故に、彼らは腹を括って、奴良家の門を叩いたのだった。

 叩いてしまった、のだった………





「待てよ~☆」
 やたらフリルやリボンが多い萌え系のメイド服の膝丈スカートを翻して走る娘。その衣を掴まんと追いかける少年は、常の利発そうな雰囲気を拭い去って、でれでれと笑み崩れている。元々の顔立ちが整っているので見苦しくはないが、彼が醸し出す砂糖菓子をさらにカラメリゼかましたような甘々な空気は、常識ある全ての人々を居たたまれなくさせる代物だった。
 勝手知ったる友人の家、これだけ住人が多いのだから訪問がまずかった場合には誰かが気づいて忠告してくれるだろうと鍵が掛かっていなかった門を潜った清十字団の一行は、眼前に展開された想定外の光景に、厳めしい敵の妖怪が現れたわけでもないのに、動けなくなった。
 あれは、誰だ……?
 清十字団員とリクオとのつきあいは、小学生の頃からのものだ。だが、リクオの正体を知り理解を深めてから、まだ2年も経っていないし、現在でも、学校でのリクオは、概ね『良い奴』でしかなかった。『良い奴』とてリクオの一面ではあるが、それだけで彼の全体像を理解できたとは到底言えない。
 清十字団員は、リクオの友である。だが、『理解者』としてはまだまだ未熟であった。
 団員の中で最もリクオを理解しているのがつららなのは当然だが、次点は、戦いの中で絆を培ってきたゆらだ。だが、ゆらは京都で生活しており、今この場にはいない。
 島は、元々リクオに関心がなく、つららに惚れた男としてリクオに腹を立てたり『侮れない相手』とは思っていたが、それ以上理解しようとはしなかった。
 カナは、当人はもうふっ切ったつもりではあるが、夜姿が好みなのは事実なので、リクオとどうこうなることは諦めたのだが憧れは残っている。故に、憧れという色眼鏡を掛けずにリクオの真実を理解するのが難しい状態だった。
 清継は、憧れフィルターフル装備なので、なかなか冷静になれない。
 夜姿での言動がああで、夜も昼も姿や言動が異なろうとも根本の心は同じであり、それってつまり本性はアレってことだよな、とは思っていた鳥居と巻はまだマシな方なのだが、根が優しいしまだ夢を見たいお年頃である彼女らは、気づいていないことが多々あった。
 よって、彼らは凍りついたのである。
「つ~かまえたっ☆ もうっ、つらら、どうして逃げるのさ?」
 歴戦の戦士であるくせに清十字団の訪問に気づかない様子で、情けないほどでれでれになって腕の中に閉じ込めた娘に頬ずりしているどうしようもない状態のリクオと。
「にゃんっ!」
 見た目より遥かに力が強いリクオの腕から逃れようと無駄な抵抗をしているメイド服のつららに生えている、真っ黒な猫耳としっぽに。



【つづく】
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