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お前がボクにくれるもの ③ 2012/9/23 19:30

 ぬらりひょんの孫 リクつらss。

 リクオ様お誕生日おめでとう連作、その③。
 ……あの、これ、おめでとう話ですからね。最後まで読んだらちゃんとおめでとう話になる予定ですからね。
「ね、アレってどうしたんだと思う?」
「やっぱ、つららちゃんじゃね?」
「だよね」
 9/23は、関東総元締奴良組三代目総大将奴良リクオの誕生日。
 リクオは、産まれたその日から本家の妖怪たちに愛され、成人した今となっては傘下の妖怪たちと全国の親分衆に認められている。奴良屋敷は、妖怪は夜が本番だと言うのに、今日は朝から祝いを言いに来る客で千客万来だ。
 客の中には、リクオの正体を知る学友、清十字団の姿もあった。
 正体を知ってから半年近く経っているから、彼らはもう、この奴良家の敷地内でどんなに恐ろしげな面相の妖怪が現れても怯えたりはしない。人に仇為すことを禁じるリクオの館で、彼らの身に危害が及ぶはずがないのだから。
 それどころか、カナや島はまだ危害が無いことを理解しつつも怖々と接する時があるが、鳥居と巻は黒田坊や青田坊や毛倡妓を接点として皆と仲良くなり、毎回美味しい手土産を持ってくる清継など、住人からいつも大歓迎されている。
 当然の流れとしてリクオの誕生日会(という名の宴会)に呼ばれた彼らは、宴会が始まる前にプレゼントを渡してしまおうと考えて、リクオの部屋に訪れて……お誕生日様として、いつも以上にちやほやされているに違いないリクオが、まだ昼姿であるのに、息苦しくなりそうな黒い畏れを纏っている姿に驚かされた。
 リクオは礼儀を知る男なので、わざわざ己の誕生日を祝いに来てくれた友に対してちゃんと礼を言ったが、メガネの奥の瞳がちっとも笑っていなかったので、愛想笑いも怖いだけだった。
 重い空気に耐え切れなくなった鳥居と巻とカナと島は、早々に、庭が観たいと言って部屋から逃げた。今、リクオの自室に残っているのは、元々空気を全然読まない上に魑魅魍魎の主萌えが激しくて、黒々しい畏れに気づいていない清継だけである。
「いつもなら、つららちゃんが傍にいるもんね」
「それか、お茶持ってきてくれたりするよね」
「及川さ~ん、どこに居るんすか~?」 
「つららなら、居らんぞ」
 全く望みが無いのにつららを諦める様子が無い島の声に応えたのは、黒田坊だった。小妖怪から鳥居の来訪を聞いて、顔を見に来たのだ。
「黒田坊さん、こんばんは。お邪魔してます」
「うむ。リクオ様の生誕を言祝ぎによくぞ参られた。今宵は、共に楽しもう」
「いやでも、楽しもうにも主役がアレなことになってんだけど……つららちゃん、何でいないの?」
「そ、それは……」
 巻のツッコミに、黒田坊が小さく呻く。
 黒田坊は、リクオがつららに何を要求しているのかを理解しているので、夜明け頃に一度帰って来てケーキを焼いた後またすぐ出て行ったつららが、高過ぎる鈍感力でどんな誤解をしているのかは、だいたい見当が付いている。
 というか、本家の住人は皆わかっていて、今、三代目の機嫌を直させる為に、三羽鴉を中心として浮世絵町中の鴉が必死でつららを探している最中だ。
 だが、事の発端であるリクオの要求について、女子中学生、特に鳥居には話し辛い。家族や友達を大事にし、土地神を敬う心を持ち、あんな酷い目に合わされたのに妖怪全体を厭うことなく接してくれる鳥居を、今すぐどうこうというわけではないが彼女が大人になったらもしや、と考えたことのある黒田坊としては、口にするのは憚られた。
「ええと。そ、それはその、だな……」
 黒田坊は、もごもごと呟いた。



 

「それでね奴良君、ネット上のオカルト系掲示板について、統計を取って纏めてみたんだけど……」
「うんうん」  
 目の前で清継君が、グラフ化されたデータを見せながら説明をしている。口元に愛想笑いを貼り付けたボクは、適度に相槌を打ちながらも、別のことを考えていた。
 何かって?
 そりゃあ、もちろん、つららのことだよ。
 主であり恋人である奴良リクオの誕生日に、朝から姿を見せやがらねぇし連絡も取れねぇ雪女のことだ。
 つららの鈍感力の高さはよくわかっているし、やきもきさせられるのはもう慣れた。
 昨夜のアレも、ボクの期待外れで、つららは全然わかってなくて、だからこそ気が動転して雪山殺しを使っちゃったんだろう、と察しが付くさ。これまで何度も、今宵こそはと迫る度に動揺したつららに雪山殺しかまされてきたからね。わからいでか。
 今回は、イベント事が好きな女性心理を利用し、自ら気づかせることで覚悟を決めさせて一線を越えてみせるつもりだったから、盛大にがっかりはしたけどね。
 でもね、それぐらいで怒る程、ボクは狭量な男じゃないつもりだよ。
 今ボクが問題にしたいのは、つららが居ない、てこと。
 つららのことだから、ボクが求める品を何としてでも手に入れなければ、と半ばパニックに陥りながら必死で探しているのだろうと、想像はつくさ。ボクを思うあまりに冷静さを欠いているから、携帯の充電切れや、朝からつららに会えない上に来客が多くて探しに行くことも出来ないボクの気持ちに気づかないのだろうね。
 でもね、それで納得できるか、と言ったら別の話だろ?
 ボクは、過保護だと言われても、もしかしたら、ただの充電切れじゃなく危ない目にあっているのかもしれない、とか思わずにいられない。
 それに、せっかくの誕生日に、どんな相手が客でも側に置いておける側近頭という地位に付けているのに、つららが傍に居ないという事実が、納得できない。
 夜中にお祝いは言ってくれたけど、アレだけじゃ、1日あたりのつらら分としては足りないよ。ボクは、長年つらら分を過剰摂取し過ぎたせいで、重度の中毒患者なんだ。
 だから、宴会が少し落ち着いたら抜け出して探しに行くつもりだ。
 見つけたら、明鏡止水発動して場所がどこでも問答無用で押し倒してやるからな! 覚悟しろ、つらら!



 恋に溺れる男が不穏な決意を滾らせている中、9/23の夜は更けていく……

≪つづく≫ 
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